旭化成と三井物産は6月8日、米国で生産するバイオメタノールの供給・調達スキームを構築すると発表した。同スキームを通じて同社は三井物産より調達したバイオメタノールを原料として、従来品よりカーボンフットプリントの低いエンジニアリングプラスチックを日本で生産する予定にしている。
昨今、政府が提唱する「2050年のカーボンニュートラル(CN)実現」に向け、スコープ3と呼ばれる原材料由来の温室効果ガス(GHG)を含めた製品サプライチェーン全体のGHG削減の取り組みが各企業で活発化している。
旭化成はポリアセタール(POM)樹脂「テナックTM」などの各種エンジニアリングプラスチックにおいて、GHG排出量が少ないバイオマス原料を使用した製品の製造に取り組み、GHG排出量の削減への貢献に努めている中、原料調達において、旭化成、三井物産の両社で協議し、課題解決に向けて検討を進めてきた。
三井物産は、米国で都市廃棄ごみから出るバイオガス経由のRNG(Renewable Natural Gas、再生可能天然ガス)を調達し、マスバランス方式を用いて現地合弁会社でバイオメタノールを生産している。サステナビリティ特性を最終製品に信頼性を持って伝えるため、旭化成と三井物産はサプライチェーンにおいて国際持続可能性カーボン認証「ISCC PLUS認証」を取得している。
これにより旭化成は、三井物産が製造したバイオメタノールを調達し、マスバランス方式で同原料を割り当てた各種エンジニアリングプラスチックを販売することが可能となる。
旭化成は「Care for Earth」の観点から「カーボンニュートラルでサステナブルな世界の実現」を目指しており、バイオマス原料や再生原料、再生可能エネルギーの使用などの取り組みに注力している。旭化成グループは、他社との協働を深化させながら、「中期経営計画2024~Bea Trailblazer~」にもとづき、特性を有する製品・サービスの提供をより進めることで、社会や顧客からの期待に応えていく。
三井物産は、バイオメタノールを含む低炭素メタノールの供給を始めとした、さまざまな事業を通じてユーザーのスコープ3に於けるGHG排出量削減に取り組み、社会全体の持続可能な発展への貢献に努める。
2023年06月09日