使用済タイヤ熱分解試験を開始 ブリヂストンが分解油など生成

2023年06月09日

ゴムタイムス社

 ブリヂストンは6月8日、使用済タイヤの精密熱分解(油化)によるケミカルリサイクル技術の社会実装に向け、新たにブリヂストンイノベーションパーク(東京・小平市)内に実証機を導入し、使用済タイヤを熱分解することによって分解油や再生カーボンブラックを生成する取り組みを開始したことを発表した。
 この取り組みは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/CO2などを用いたプラスチック原料製造技術開発」において実施する2つの研究開発テーマのうちの1つであり、ENEOS株式会社(以下「ENEOS」)と進めている共同プロジェクト。高機能ゴムなどの高分子素材の設計技術を持つブリヂストンが精密熱分解の技術を、原油精製技術や基礎化学品製造に関する基盤技術を持つENEOSが精密熱分解して得られる分解油からブタジエンなどを精製する技術をそれぞれ研究・開発し、共創を進めている。今回の実証機の導入は、使用済タイヤを精密熱分解して得られる分解油をリサイクルオイル化し、このオイルから合成ゴムの素原料であるブタジエンなどの化学品を高収率に製造するケミカルリサイクル技術の社会実装に向けた実証実験を行うもの。今後、2030年までに量産を想定した大規模実証を予定しており、今回開始した取り組みはその第一歩となる。
 同社は、サステナビリティを経営の中核に据え、ビジョン「2050年サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」の下、ネイチャーポジティブへの貢献を見据えて、「断トツ商品」を「創って売る」「使う」「戻す」といったバリューチェーン全体でカーボンニュートラル化、サーキュラーエコノミーの実現とビジネスを連動させる独自のサステナビリティビジネスモデルを進化させていく。使用済タイヤのケミカルリサイクルは、2050年に100%サステナブルマテリアル化を目標とするサーキュラーエコミー実現に向けた、重要な施策の一つ。
 同社は、様々なパートナーとの共創を通じて、使用済タイヤを「資源」としてゴムや原材料に「戻す」リサイクル事業の事業化に取り組んでいる。2022年4月には、この共創を呼びかける活動を、タイヤを「EVER」な(常に・ずっと・永遠に続く)タイヤとして循環させていく、という想いを込めて「EVERTIRE INITIATIVE」としてスタートさせました。タイヤを原材料に「戻す」共創活動を通じて、企業コミットメント「Bridgestone E8 Commitment」で掲げる「Ecology:持続可能なタイヤとソリューションの普及を通じ、より良い地球環境を将来世代に引き継ぐこと」、「Energy:カーボンニュートラルなモビリティ社会の実現を支えること」にコミットしていく。

回収されたカーボンブラック(左)と分解油(右)

回収されたカーボンブラック(左)と分解油(右)

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