三洋化成(京都市東山区、樋口章憲社長)は、永久帯電防止剤のペレスタットやペレクトロン、樹脂用フィラー分散剤(酸変性PP)のユーメックスといった樹脂添加剤や樹脂改質剤を手がけている。22年度の需要動向をみると、永久帯電防止剤は、上期は堅調に推移していたが、巣ごもり需要が一巡し、下期に入ると電子材料向け搬送トレーや包装材料向けの需要も落ち込む展開となった。足元も回復に向かう兆しは未だみえないが、「ユーザーおよびエンドユーザーでの在庫調整が終わり、半導体需要の回復および自動車メーカーの増産に期待している。」(同社)。
ペレスタットとペレクトロンは、国内の鹿島工場(茨城県神栖市)に加え、22年7月にタイの関係会社「サンヨーカセイタイランド」で生産設備の稼働を開始した。タイ拠点の生産能力は1500tで、日本とタイ合わせると年4700tの生産能力を有する。「タイはメイングレードを中心に生産し、グローバルな需要に応えていく」(同社)。
23年度の永久帯電防止剤の見通しは、電子材料向けは弱含みの状況が続くとみている。ただ、将来的にはグローバルでの需要が拡大する見込みであるため、「適用樹脂の拡大などを見据えたグレード拡充の検討や、来るべき拡販の時に備え開発ワークを丁寧に進めていく」(同社)構え。
電子材料のみならず医療用途への売り込みにも力を注いでいく。医療用途では、コロナ禍で大きく伸びた防護服や粉体の医薬中間体に使われる袋、喘息などの吸引器「インヘラー」関連部品など帯電防止効果の特長を活かすことができる用途で実績を有する。これらを含め医療用途でのさらなる拡大に向けたアプローチを積極化していく。 製品展開では、今年4月にABS樹脂に抗ウイルス性を付与する抗ウイルス剤「BARRIATEC(バリアテック)」を開発した。特長は、①高い抗ウイルス効果、②ホコリの付着を抑制(帯電防止効果)、③加工が容易(ペレット状なので混練しやすく、ハンドリング性が良い)④外観・機械的性質を損なわない(無機系の抗菌・抗ウイルス剤は基材樹脂に対し着色が起きやすいが、有機系のBARRIATECは色味を損ねることもなく透明性を維持し、かつ顔料を入れて着色することもできる)。パソコンや家電、OA機器といった人が触れる幅広い用途での利用を想定する。
ABS樹脂向けでは、耐薬品性向上剤「ファンクティブ」の提案にも注力。ABS樹脂は耐薬品性に難点があり、耐薬品性が不足すると樹脂の軟化や脆化、溶解に伴う外観不良、さらに樹脂表面での微小クラックの発生、目視可能レベルのひび割れが発生する。こうした課題に応えABS樹脂の耐薬品性を向上させるファンクティブを開発した。
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