三井化学、GSC賞経済産業大臣賞受賞 バイオ由来C5イソシアネートで

2023年06月19日

ゴムタイムス社

 三井化学は6月15日「バイオ由来C5イソシアネートおよびその誘導体を用いたポリウレタンの実用化」により、新化学技術推進協会(JACI)における第22回グリーン・サステイナブルケミストリー賞(GSC賞)の「経済産業大臣賞」を受賞したと発表した。
 この賞は、グリーン・サステイナブルケミストリーの推進に貢献する優れた業績が表彰されるもので、「経済産業大臣賞」は、産業技術の発展に著しく貢献した個人、団体に与えられる。
 受賞名は、第22回(2022年度)GSC賞「経済産業大臣賞」、業績テーマ名は、バイオ由来C5イソシアネートおよびその誘導体を用いたポリウレタンの実用化、受賞者は、同社新事業開発センター マーケティング&イノベーション推進室、室長山崎聡氏、研究開発本部合成化学品研究所ウレタン材料設計G、主任研究員中川俊彦氏、研究開発本部合成化学品研究所ウレタン材料設計G、主任研究員薄井裕太氏、研究開発本部合成化学品研究所光学機能設計G、チームリーダー龍昭憲氏、天津天寰ポリウレタンUR事業部、事業部長森田広一氏となる。
 同社は2050年までのカーボンニュートラルの実現を重要な経営課題として掲げ、自社および製品提供を通じた社会のCO2排出削減に取り組んでいる。特に、バイオマスの活用およびリサイクルを推進できる新たな技術開発は重要な方策と位置付けている。
 その中でもリサイクルが難しい熱硬化性樹脂において、ポリウレタン原料のバイオマス化の研究開発を進めてきた結果、植物資源を由来とする炭素数5の新規なイソシアネートモノマーである1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(スタビオPDI (STABiO PDI))を創製した。
 さらに、スタビオPDIから誘導されるポリイソシアネートおよびそれらを用いたポリウレタンを開発し、グローバル市場にてエネルギー、モビリティならびに医療・ヘルスケア領域において、環境負荷を低減しつつ人々の快適性の向上を向上する製品を実用化した。
 同技術の特徴は、スタビオPDIは、化石資源への依存度を低減した新規なバイオイソシアネートという点。
 同イソシアネートをもとに開発したイソシアネート系硬化剤は従来の化石資源を利用した系よりも、硬化時間の短縮や低い温度での硬化反応が可能であるうえ、耐薬品性が向上するため、ポリウレタン製品の省資源および省エネルギーを実現した。
 これらの特長を活かして、エネルギー領域では、シリコン系太陽電池のコーティング材料として、モビリティ領域では、車両重量の低減に貢献する構造接着剤の硬化剤として採用している。
 医療・ヘルスケア領域では、眼科手術医のための精巧な手術訓練用シミュレーター(Bionic-EyE TM)や、環境ニーズに対応すべくバイオマス認定を取得した高屈折率のメガネレンズ材料(Do GreenTMMR-160DGTM)を実用化した。

授賞式の様子、(左から薄裕太氏、中川俊彦氏、山崎聡氏、龍昭憲氏)

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