出光興産は6月15日、「金属分を含まない無灰型ディーゼルエンジン油「idemitsu AshFree」の開発」により、公益社団法人新化学技術推進協会の第22回グリーン・サステイナブルケミストリー賞(GSC賞)で、「奨励賞」を受賞したことを発表した。本年4月の第73回自動車技術会賞「技術開発賞」に続く受賞となる。
同社は本技術を用い、昨年9月に無リン無灰のディーゼルエンジン油「idemitsu AshFree」を業界で初めて発売している。「idemitsu AshFree」を通じ、労働時間の短縮や燃料費の削減など物流業界が直面する、さまざまな課題の解決に貢献していく。
GSC賞は、「人と環境にやさしく、持続可能な社会の発展を支える化学」を定義とする、グリーン・サステイナブル ケミストリー(GSC)の推進に貢献する優れた業績を挙げた個人、団体を表彰するもの。GSC推進への貢献が将来期待できる業績に贈られる賞である「奨励賞」を、同社の社員、清水保典(しみずやすのり)氏、甲嶋宏明(こうしまひろあき)氏、葛西杜継(かさいもりつぐ)氏、藤浪行敏(ふじなみゆきとし)氏の計4名が受賞した。
環境負荷低減を目的に、ディーゼル車には排ガス中の微粒子物質を捕捉するための排ガス浄化処理装置DPFが搭載されている。一方で、走行距離が増えるにつれ、排ガス中に存在するエンジン油添加剤(清浄/耐摩耗剤)由来の灰がDPFの目詰まりを引き起こし、トラブルの原因となっていた。
灰の発生源である金属系清浄剤などを使用しないのが理想だが、エンジン内の表面温度は最大 300℃を超えるため、添加剤自身の堆積によるエンジン損傷の発生が懸念されていた。そのため、従来の油では使用量の減量(低灰分化)により灰そのものを減らすことが、目詰まりを防ぐ唯一の手法となっていた。
この課題の根本的な解決へ向け、同社の研究員らは、灰を減らすのではなく、出さないというコンセプトを採用。全く新しいディーゼルエンジン油の開発に取り組み、その結果、灰の発生要因である金属系の清浄剤や耐摩耗剤を使用しない、独自の添加剤処方技術の開発に成功した。
昨年9月に販売したディーゼルエンジン油「idemitsu AshFree」は、本技術を採用しており、DPFを搭載するトラックやバス向けの日本製ディーゼルエンジンとDPF適合性能の規格である「JASO DH-2」 相当の性能を有している。「idemitsu AshFree」は、DPFの目詰まりの要因となる灰を出さないため、DPFの寿命延⾧によるメンテナンス費用の削減やDPF再生時間短縮による労務時間および燃料使用量の削減を実現する。
2023年06月20日