TOYO TIREは7月3日、トラック・バス用スタッドレスタイヤ「M939(エム939)」を8月1日より国内市場で発売すると発表した。
国土交通省の調査によると、近年では1日あたりの降雪量が増加傾向にあり、短時間で大雪に見舞われる事例が多くなっている。昼夜を問わず全国各地を走行するトラック・バスのスタッドレスタイヤは、深雪や凍結した路面を捉える性能の強化が必要となる。
一方、年間の累計降雪量は減少傾向にあり、積雪の無いアスファルト路面での走行が増えることから、摩耗ライフの向上による使用期間の長期化も求められている。
また、運輸・運送業界ではトラックドライバーや整備士などの確保が慢性的な課題となっており、2024年4月から施行予定の働き方改革関連法のもと、ドライバーの時間外労働時間の上限が引き下げられることから、車両メンテナンスにかける時間、費用、人員の効率化に向けた取り組みが進んでいる。これに伴い、タイヤについても交換やローテーション頻度の極小化に対するニーズが高まっている。
同社は日本国内における昨今の気象の特長やトラック・バス業界を取り巻く社会課題を踏まえ、高いアイス性能と耐摩耗性能を両立し、低メンテナンス性を向上したスタッドレスタイヤ「エム939」を開発した。
タイヤトレッド面のブロック内にサイプを高密度に配置したエム939は、アイス路面でのグリップ力を確保している。
また、大型のブロックを周方向に連結させることで路面接地時にブロックが過度に動かないようにし、偏摩耗の発生を抑制した。これによって、推定摩耗ライフは同社従来品(エム929)比で7%向上、偏摩耗の発生を同45%低減した。さらに、積雪の無いアスファルト路面での走行も考慮し、転がり抵抗の低減も実現している。
同社は同社は専門的に蓄積してきた知見を生かし、ユーザーの課題解決、社会の要請に応えるトラック・バス用タイヤの開発と普及に今後とも注力していく。
パターン設計は、氷雪上(アイス・スノー路面)での性能向上、偏摩耗抑制、摩耗ライフおよび低メンテナンス性向上となる。性能評価結果は、アイス制動性能、従来品比4%向上。
テスト条件は、評価サイズ11R22・5、場所は、同社冬期タイヤテストコース、使用車両は、日野プロフィア、排気量は、12・91L、駆動方式は、2-D・4、リムサイズは、22・5X7・50、空気圧は、700kPa、路面は、氷盤路面、評価方法は、アイス路面において速度30km/hの直進走行からフルブレーキングし、停止するまでの制動距離を計測。試験回数は、5回以上でプラスマイナス1・5σ以内の有効なデータ3回以上の平均値。ABS有。
耐摩耗性能は、実車評価で推定摩耗ライフが従来品比7%向上となる。
テスト条件として、評価サイズは、11R22・5 16PR、場所は、和歌山県~長野県の輸送(同一ユーザー同一路線、同型車で走行)、走行距離は、3万2383km、使用車両は、いすゞギガ、排気量は、9・83L、車軸配列は、2-D・4、リムサイズは、22・5X7・50、空気圧は、900kPa、ローテーションは、あり、評価方法は、リア駆動軸の総平均推定摩耗ライフを比較(取り外し残溝3・2mmで計算)、耐偏摩耗性能は、実車評価で偏摩耗の発生を従来品比45%低減となる。
テスト条件として、評価サイズは、11R22・5 16PR、場所は、中部地区(同一ユーザー同一路線、同型車で走行)、走行距離は、1万4968・5km、使用車両は、日野プロフィア、排気量:8・86L、車軸配列は、2・2-D、リムサイズは、22・5X7・50、空気圧は、800kPa、ローテーションは、なし、評価方法は、フロント軸のタイヤ周方向に隣り合うブロック間での段差となって偏摩耗している部分の段差量を測定し比較となる。
「エム939」発売サイズは、17・5インチが、225/80R17・5 123/122L、225/90R17・5 127/125L、19・5インチが、9R19・5 14PR、245/70R19・5 136/134J、265/70R19・5 140/138J、22・5インチが、11R22・5 14PR、11R22・5 16PR、265/60R22・5 143/140J、275/70R22・5 148/145J、275/80R22・5 151/148J、295/80R22・5 153/150J、285/85R22・5 143/140J、285/85R22・5 146/143Jとなる。
2023年07月05日