凸版印刷は７月５日、セキュアセンシングＮＦＣタグの新ラインナップとして、静電容量式センサー機能を搭載しボトルなどの容器内の液体の残量を非接触で検知できるＮＦＣタグラベルを開発し、２０２３年８月より、化粧品業界、医療・医薬品業界、酒類業界などに向けて全世界で提供を開始すると発表した。
開封検知機能を持つセキュアセンシングＮＦＣタグは、２０１７年１月から展開し、高級ワインなどに採用されている。
このＮＦＣタグラベルは、同社がこれまで培ってきた独自のアンテナ設計技術を活かし、ＮＦＣアンテナと液体検知回路を組み合わせたもの。一対の電極回路をラベル内に形成し、容器の表面に貼付したＮＦＣタグラベルをスマートフォンで読み取ることで、容器内の静電容量の大きさから液体の有無や残量を検知することができる。
同製品の活用により、ユーザーは中身の見えない容器の残量確認が簡単にできる。
また、導入企業は、消費者に対して使用状況に応じたコンテンツ提供や追加購入の誘導などのカスタマーエンゲージメントサービスを提供することも可能になる。
なお、同製品は、２０２３年７月５日～７日まで開催される「第25回インターフェックスＷｅｅｋ東京（医薬品）（化粧品）研究・製造展」（会場、東京ビッグサイト）の同社ブースにて展示する。
高級品のパッケージは、意匠性や内容物の保護のため中身の見えない容器が多く、ユーザーからは容器の残量を手軽に確認できる手法が求められていた。
また、企業側はマーケティングや商品開発を目的として、商品購入後のユーザーの使用状況などを獲得する手段が求められてきたが、現状はアンケートや購入データの追跡などが一般的で使用実態に即したデータ取得の手法はなかった。
この課題に対して、この度、容器内の液体を簡単に検知できるＮＦＣタグラベルを開発した。従来、静電容量の仕組みを用いた液体検知は工業用途において専用機器を使用する方法が一般的だったが、今回ＮＦＣタグラベルに液体検知機能を搭載することでＮＦＣ対応スマートフォンでの検知を実現した。
同社は２０１７年より、開封検知が可能なセキュアセンシングＮＦＣタグを開発し、高級品の偽造品・模倣品対策や消費者への商品情報コンテンツの展開を支援している。今回、セキュアセンシングＮＦＣシリーズの新たなラインナップとして液体を検知するモデルを加え、ＮＦＣタグ市場の拡大を推進する。
同製品の特長は、専用装置が不要で、スマートフォンを用いた手軽な液体検知が出来るという点と、専用アプリがなくても液体検知が可能という点、真贋判定や商品情報の提供も可能という点となる。
通常、静電容量の仕組みを用いて液体検知をする場合は、静電容量を測定する専用装置が必要となる。同製品は静電容量信号入力を有したＮＸＰＳｅｍｉｃｏｎｄｕｃｔｏｒｓ製の革新的なＮＦＣ用ＩＣチップであるＮＴＡＧ22ｘ ＤＮＡ ＳｔａｔｕｓＤｅｔｅｃｔを採用。ここに、同社が持つ独自のアンテナ設計技術を活かして、ＮＦＣタグラベルにＮＦＣアンテナと容器内の液体を検知可能な回路を組み合わせることで、スマートフォンを用いた手軽な液体検知を実現した。また、スマートフォンからの電磁誘導により自己発電し電流が流れるため、電源は不要で読取りすることが可能となる。
同製品は、ＮＦＣ対応スマートフォンをかざすだけで、ＩＣチップ内部のＮＤＥＦ（ＮＦＣ Ｄａｔａ Ｅｘｃｈａｎｇｅ Ｆｏｒｍａｔ）データを専用のアプリ不要で読み込むことができる。具体的には、ＮＦＣタグにスマートフォンをかざした際に測定した液体検知データを含むＵＲＬを生成することができ、Ｗｅｂブラウザ上で情報を確認することが可能となる。
ＮＦＣタグを読み取ると、ＩＤ情報を読み取るだけでなく、演算による認証情報も取得する。認証情報は読み取りプロセスごとに異なり、クラウド上でその演算結果を判定するため、高いセキュリティ性を保有している。また、同じＮＦＣタグを何度読み取っても、応答するＵＲＬが変化することでＵＲＬのコピーや拡散などは無効となるため、商品の真贋判定にも活用が可能。さらに、表示したページにキャンペーン情報などのコンテンツを掲載することもできる。
価格は、１００万枚製造時、１枚当たり60円～となる。
同社は、今回開発したＮＦＣタグラベルを含むセキュアセンシングＮＦＣと環境配慮型ＮＦＣタグラベルをグローバルに拡販し、２０２５年度に全世界で関連受注を含めて約20億円の売上を目指す。
また今後もＩＤ認証と状態検知機能を合わせ持つセキュアセンシングＮＦＣシリーズの用途開発を行い、様々な顧客要望に対応したラインナップ追加を推進していく。
液体検知エヌエフシータグラベルのイメージ
