ダウは7月12日、プロクター・アンド・ギャンブル・チャイナ(P&G中国)とのeコマース用エアカプセル包装に関する協業を発表した。
P&G中国のイノベーションと同社の素材によって実現したエアカプセルは、eコマースにおける過剰包装を避け、リサイクルを促進すると同時に、製品を保護する効果的かつ効率的な⽅法を提供する。
エアカプセル包装は、持続可能なeコマース業界を推進する上で重要な節目であり、従来の段ボール箱と比較し、資材重量が40%以上削減。トラック輸送は従来の25%の使用で済み、倉庫スペースの75%の削減につながるという利点や、安全で信頼性の高いクッション性のある製品保護が可能という利点、オールPEモノマテリアル構造によるリサイクル性が向上するという利点がある。
内容物を保護し、いたずら防止機能がある開封口、破りやすいストリップ、開封後に手間をかけずに廃棄できる自然に萎む機能など、パッケージの設計が消費者にとって信頼性が高く利便性が向上している。
「eコマースの台頭により、包装廃棄物の増加は避けられない。同社の役割は、設計の段階でリサイクル性を検討した、より高性能でサステナブルな包装を可能にする材料を開発すること。P&G中国とのコラボレーションを通じて、消費者ブランドやeコマース業者のニーズを満たすだけでなく、包装材料を循環型にするために、消費者が⾏動できるようにする」と、ダウ・パッケージング・スペシャルティ・プラスチック事業部のアジア太平洋地域コマーシャル・バイス・プレジデント、バンバン・カンドラ(Bambang Candra)氏は述べている。
eコマースの包装は通常、外装としてダンボール箱を使用し、エアクッションや緩衝材を使い配送中に製品を保護し安定させる。一方で、従来のエアクッションのフィルム構造は、ナイロン(保存期間を延ばすための高いガスバリア性を提供)、タイレイヤー樹脂、ポリエチレンなど複数の材料で構成しているため、従来の⽅法ではリサイクルが困難だった。
同社のELITE AT高性能PE樹脂は、ナイロンを挟むことなく、同等のガスバリア性能を提供するため、包装のリサイクル性を可能にするオールPEモノマテリアル構造を作ることができる。
「P&Gは、包装設計の最適化に重点を置き、プラスチック包装の循環性向上に取り組んでいる。ダウとの提携により、2030年までに100%リサイクル可能または再利⽤可能なパッケージングを実現するというコミットメントを前進させることができる。当社のエアカプセルeコマースパッケージの開発はあるべき方向への一歩であり、今後もより多くのパートナーと協⼒し、このようなインパクトを⼤規模に推進していきたいと考えている」と、P&Gグレーターチャイナのパッケージイノベーションディレクターであるネオ・ヤン(Neo Yang)氏は述べている。
同社は素材科学の専⾨知識を通じて、P&G中国のようなパートナーと緊密に協⼒し、プラスチックの持続可能な未来を実現する。
こうした取り組みは、2035年までに包装ソリューションの100%をリサイクルまたは再利⽤可能にし、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという同社のサステナビリティ⽬標「Closethe Loop(循環型社会の構築)」に沿うものとなる。
同社の事業部門であるパッケージング・アンド・スペシャルティ・プラスチック(P&SP)は、研究開発、世界展開、幅広い製品群、業界の専⾨知識という中核となる強みを組み合わせ、⾷品包装、衛⽣、インフラ、消費財、輸送などの最終使用市場向けに高機能な技術を提供している。
P&SPは、ポリエチレン樹脂、機能性ポリマー、接着剤の世界最大のメーカーの一つであり、パックスタジオを通じてプラスチックのサステナブルな用途開発および循環経済のライフサイクル設計に関するバリューチェーン全体の主要なイノベーター、そしてコラボレーターとなる。
同社は、グローバル展開、設備統合と規模、焦点が明確なイノベーションと素材科学の専⾨知識、業界およびESG(環境・社会・ガバナンス)におけるリーダーシップを基に、利益ある成⻑そして持続可能な未来の実現を支援する。
同社の目指す姿は、最もイノベーティブ、顧客本位、インクルーシブそしてサステナブルな素材科学会社となること。
同社が擁するプラスチック、工業中間体、コーティング、シリコーン事業は、包装やインフラ、モビリティ、コンシューマー⽤途など成⻑著しい市場におけるユーザーに向けて、差別化した、科学技術に基づく製品やソリューションを提供する。
世界31ヵ国で製造拠点を操業し、従業員数は約3万7800人となる。2022年度における純売上⾼は約570億ドルとなる。
2023年07月13日