ADAS向け高機能材料開発 SABIC、ミリ波レーダー導入推進へ

2023年07月14日

ゴムタイムス社

 SABICは7月13日、乗員と歩行者の安全性強化を目的とする先進運転支援システム(ADAS)に適した高機能材料として、LNP STAT-KONコンパウンドの新製品「WDF40RID」および 「WDF40RI」を発表した。
 新しいLNP STAT-KONコンパウンド 2種はガラス繊維強化グレードであり、ADASレーダー吸収体に最適な特性を備えることでセンサーの精度と利用可能範囲を大幅に向上し、ミリ波(mmWave)レーダーの導入推進に寄与する。
 同社のLNP STAT-KON WDF40RID およびWDF40RIは、ミリ波レーダーの重要課題となっている信号対雑音比の改善に寄与する新しいコンパウンド材料となる。これらのコンパウンドは、優れた誘電正接(Df)によってレーダー主信号の送信を妨害するノイズを効率的に吸収し最小限に抑えることができる。
 また、これら同社の新しいガラス繊維強化グレードは、他の非晶性ガラス繊維強化材料と比べ、より高い吸収率とより低い反射率を実現している。
 さらに、これらLNP STAT-KONコンパウンドは非常に高い流動性と卓越した低反り性を発揮するため、レーダーの内部および外部に装着する単層吸収体の新たな設計を可能にするほか、従来の金属を併用したメタルバック吸収体の最適化にも寄与する。
  レーダー性能の向上LNP STAT-KON WDF40RIDコンパウンドは、電磁波に対する高い吸収率(77GHzで最大75%)と制御した反射率(77GHzで最小25%)を発揮し、これらの組み合わせによって大幅にノイズを低減することができる。
 この革新的な製品は、フラット形状の設計でも、吸収率の向上と反射率の低下において現行材料を約10%上回り、適切な形状設計によってさらなる最適化を図ることが可能となる。
 LNP STAT-KON WDF40RIDコンパウンドは、ADASレーダー(76〜81GHz帯)に使用するミリ波周波数全体において一貫した性能を発揮する。
 この新しいコンパウンドは、大幅なノイズ低減によって、ゴーストイメージに加えて主ビーム以外の方向に放射した電波によるサイドローブの干渉を最小化し、ADASレーダーの高解像度化と精度向上を実現する。
 LNP STAT-KON WDF40RIコンパウンドはメタルバック電波吸収体用に設計しており、電波吸収率を80%近くまで高めるとともに反射率を20%以下に抑えることができ、メタルバックとの併用によって完全にノイズ 遮蔽することができる。
 両グレードは、75〜110GHzのミリ波周波数全体で一貫したノイズ遮蔽性能を発揮する。卓越した流動特性によって新たなデザインを実現従来の電波吸収体材料には導電性添加剤を使用しているため、一般的に粘度が高く流動性が低いという物性を示す。こうした高粘度の材料を用いた場合、薄肉の内部吸収体やレーダーセンサーを囲む大型の外部吸収体の設計には制約が生じる。
 しかし、LNP STAT-KON WDF40RIDコンパウンドは流動性を向上することによって、内部レーダー吸収体を非常に薄肉(1mmまで)で成形可能となるため、サイドローブノイズを低減できるとともに、電子機器を追加搭載するためのスペースの確保も可能となる。
 高流動性は、加工面においてショートショットによるスクラップを大幅に削減できることから歩留まりの向上に寄与する上、長い流動長(最大20cm)においても優れた寸法安定性を発揮する。
 また、このコンパウンドは、低反り性によって大きな曲面を持つ外部吸収体の設計が可能なため、隣接する金属部品からのノイズを低減できる。
 ADASの進歩に貢献する幅広いポートフォリオSABICは、レーダー、LiDAR、カメラ部品に使用可能な多くの高性能材料を提供している。
 これらの材料にはULTEM、NORYL、EXTEM、LNP FARADEX、LNP KONDUIT、LNP THERMOCOMPコンパウンドなどが含まれる。同社の特殊樹脂製品は電波吸収体に加え、カバーやハウジング、レンズやレンズアセンブリ、赤外線(IR)透明レーダードーム、電磁シールド板やブラケットなどにも使用している。

サビックの新しいエルエヌピースタットコン  ダブリューディーエフ40アールアイディー および ダブリューディーエフ40アールアイコンパウンドは、ミリ波レーダーの重要課題となっている信号対雑音比の改善に寄与する新しいコンパウンド材料となる。これらの新グレードはセンサーの精度と利用可能範囲を大幅に向上し、ミリ波レーダーの導入推進に寄与する。

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