出光興産は7月19日、同社と石油資源開発(JAPEX)、ならびに北海道電力の3社(検討3社)が、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の令和5年度「先進的CCS事業の実施に係る調査」に関する委託調査業務の公募において、北海道・苫小牧エリアにおけるCCS実現可能性調査の受託に係る契約を同日締結したことを発表した。
本公募は、日本政府の「GX実現に向けた基本方針」にて掲げられた、2030年までのCCS事業の開始に向けた環境整備のため、模範となる先進性のあるプロジェクトを支援する方針にもとづき、JOGMECが実施したもの。審査の結果、本年6月に、CCSの普及拡大に向けたハブ&クラスターによる事業の大規模化とコスト削減に取り組む「先進的CCS事業」の候補として、本調査を含む7案件が選定された。
今後、検討3社は、2023年1月に発表した苫小牧エリアにおけるCCUSの実現可能性に係る共同検討のうち、CO2の分離・回収、輸送、貯留に係る部分を、具体的に進めていく。CO2の分離・回収については、同社は北海道製油所、北海道電力は苫東厚真発電所において、それぞれ必要な設備の規模や仕様などを検討する。CO2の貯留については、JAPEXにて、2030年時点における貯留量年間約150万トンを目標とした、苫小牧エリア内の貯留候補地点の選定と、地下への圧入やモニタリングに必要な設備などの検討を実施する。また、CO2の輸送に関しては、これらの拠点をつなぐパイプラインのルートや設備などの検討を、JAPEXを中心に進めていく。なお、これらの検討結果は、実現に必要な費用概算などを含めて本年度中に取りまとめ、JOGMECへ報告する予定。
検討3社は、本調査を通じて2030年までのCCSの事業開始を目指すとともに、本調査と連動した CCUS共同検討の一環として、CO2の有効活用に係る可能性の検討を進めていく。加えて、「2050年カーボンニュートラル社会」実現に貢献するため、将来的なハブ&クラスター型のCCUS事業への拡大を視野に入れた、苫小牧エリアの行政や集積する企業群との対話を進めるとともに、地域の皆さまからのCCS/CCUSへのさらなるご理解をいただけるよう、引き続き取り組んでいく。
2023年07月20日