SABICは7月19日、持続可能な材料の選択肢を顧客に提供するため、25%以上のポストコンシューマーリサイクル(PCR)を含有した新しいPCRベースのNORYLポートフォリオを発表した。
最初に提供が開始されるグレードはPCR含有量30%で難燃性を備えた「NORYL NH5120RC3」で、このほかにも複数グレードが提供される予定であり、現行の化石燃料ベース製品と比べ地球温暖化係数(GWP)を10%低減できる。
PCRの活用に関する同社の最新技術は200を超える既存のNORYL樹脂グレードに適用でき、顧客の要望に応じてさまざまなグレードに組み込むことが可能となる。これらは、ガラス繊維強化グレード、非強化グレードや非難燃グレードにも対応する。
加えて、同社では特定のアプリケーション要件に向けた樹脂カスタマイズサービスをはじめ充実した技術サポートサービスを提供している。これによって、要求の厳しいアプリケーションに求められる堅牢な機械的特性を維持するとともに、循環型社会の実現に貢献することができる。
この革新的で持続可能なソリューションは、ポリフェニレンエーテル(PPE)をベースとした材料の中では高い比率でリサイクル材料を含有した最初の材料技術の1つとなる。
同社のスペシャリティー事業部でLNP&NORYLビジネスマネージメントディレクターを務めるJoshua Chiaw氏は、「PCRベースの新しいNORYL樹脂の技術開発は、ユーザーのサステイナビリティに対する要望への対応、そして循環型社会のサポートというSABICの長期戦略における新たなマイルストーン。高いPCR含有量の材料をポートフォリオに組み込むことは、製品をよりサステイナブルなものするアプローチの1つにすぎない。私たちは使用済みポリエチレンテレフタレート(PET)ボトルのケミカルアップサイクルにおける先駆者であり、バイオベース原料の使用も拡大させている。これら持続可能性の実現に向けた成果は、SABICスペシャリティー事業部の事業全体に見られ、私たちが単に将来を見据えているだけではなく、今日においても画期的な製品を提供しているということを示している」と話している。
同社のスペシャリティー事業部で技術担当ディレクターを務めるLuc Govaerts氏は、「リサイクル材料の割合が高いPS変性PPEベースのエンジニアリングプラスチックを開発することは容易ではなく、さまざまな技術的課題が生じる。私たちの材料科学者は、SABICが有する製品とプロセスに関する専門知識を駆使して新しいPCRベースのポートフォリオを開発し、過酷な屋外環境における加水分解性、寸法安定性や機械的特性の保持といった性能を発揮する初の難燃性NORYL材料を発表した。アプリケーションの要件によっては、現行の化石ベースのNORYL樹脂グレードを新しいPCRベースの製品に置き換えることができ、カーボンフットプリントを削減しながらユーザーの求める性能を達成することができる」と話している。
新しいNORYL NH5120RC3樹脂は、非臭素系/非塩素系の難燃性によって持続可能性をサポートする。この材料は、暖房・換気・空調(HVAC)エンクロージャー、太陽光発電/ソーラージャンクションボックスなどの電気アプリケーションに最適で、1・5mm厚でUL94規格のV1に適合する難燃性を備えている。また、流動性、耐熱性、耐クリープ性もバランス良く発揮する。
NORYL NH5120RC3樹脂は全世界で入手可能である。
同社は、持続可能な材料ラインアップを拡大するため、あらゆるNORYL樹脂の配合に適用できるバイオベース技術を開発している。このバイオベース技術はISCC PLUS認定を取得した再生可能材料を用いており、NORYL、NORYL GTX、NORYL PPXおよびFlex NORYLの各グレードにおいて、最大でほぼ100%の含有量を指定することができる。
2023年07月20日