日本ミシュランタイヤは8月3日、2023年8月1日に登記を完了したと発表した。
新しい本社は群馬県太田市植木野町880(新宿、名古屋のオフィス住所は変更なし)、本社移転日(登記日)は、2023年8月1日、従業員業務開始日は、2023年7月3日から順次。
本社となる太田サイトは、環境の観点から既存建物をそのまま活かし、社員の創造と革新の場となるコラボレーションスペースを創設する。
このスペースのデザイン・設計・建設は、群馬県太田市の石川建設が率いるオール群馬企業から成る「群馬WOOW」プロジェクトチームが手掛ける。構造となるコンテナは全て群馬県で製作することで、運搬時のCO2排出量を極力抑える。また、建材は再利用しやすいものを採用する。
たとえば、一般の建築で使用される石膏ボードはクロスや塗料で仕上げるため再資源化が困難だが、今回は石膏ボードを素地のまま使用するか、石膏ボードの代わりに断熱材をシートで覆い、上から木版をすのこ上に固定する方法を採用することで再資源化の実現を予定している。
People(人の共生・コラボレーション)では、新たなコラボレーションスペースは、「集う・アイディアが生まれる」をテーマに、異なる知見を持つ社員が自由闊達に知識を増幅し、社会に貢献するコミュニティベースとなる。「サステナビリティ」、「コラボレーション」、「ABW」を具現化するこの場は、11月に建設着工、2024年4月に竣工予定となる。
社員の自主性と生産性向上のため、オフィスへの出社日数は、本人とマネージャーによる協議で決定した。これは、「ライフ」を楽しみながら「ワーク」を最大化する同社の革新的な試みとなる。
出社日数の指示を会社から社員におろす「ルール化」ではなく、社員自らが考え、マネージャーと自律的で自由な働き方を決める責任感を伴うプロセスでもある。その実現のため、東京からのシャトルバス運行や就業時間特例など、さまざまな福利厚生を適用する。
同社の本社フランスのグランゼコールや、群馬県内をはじめとする国内の大学からインターンとして学生の受入れを行う。
地域貢献や次世代育成の一助として、地域の子供たちの学習支援や学校への講師派遣などのボランティア活動を積極的に進める。太田自動車大学校でのボランティア活動では、タイヤの基礎知識や空気充てん作業で安全を確保するための技能講習を行っている。
Profit(サステナブルな貢献のための利益創造)では、従来のタイヤビジネスにおける貢献はもとより、2023年8月1日より、群馬県下の物流企業である美松運送、車両動態運行管理のトップランナーであるドコマップジャパン、群馬大学とコンソーシアムを組み、ぐんまの運輸デジタルイノベーションの取り組みを開始した。
この取り組みはDXの力で物流業界の2024年問題(ドライバーと輸送力の不足)の解決と、環境にやさしく、荷主に選ばれる運送事業を目指すもので、産官学連携事業として2023年度の県のデジタルイノベーション加速化補助金を活用する。(テーマ名は、持続可能な運輸業界の実現に向けたぐんまの運輸デジタルイノベーション~生産性の向上・環境負荷の軽減・稼働停止の最小化~)
2022年4月には、太田サイト内に積層造形技術の普及と発展を目的とした、金属積層造形「ミシュラン AMアトリエ」を開設した。
技術推進を図るGAM(群馬積層造形プラットフォーム)は着実にメンバーを増やし、「群馬から世界に」発信する革新的技術の検討を進めている。また、今年4月にはドライビングシミュレータをコアにしたエンジニアリングサービスを提供するS&VLとの協業も発表し、ますますオープンイノベーションの拠点として発展する。
2023年08月04日