樹脂添加剤の自動車用は堅調 ADEKAの4~6月期 

2023年08月10日

ゴムタイムス社

 ADEKAの2024年3月期第1四半期決算は、売上高が945億9600万円で前年同期比7・0%減、営業利益は74億2200万円で同18・1%減、経常利益は81億5000万円で同21・9%減、四半期純利益は51億2000万円で同16・6%減となった。
 化学品事業の売上高は497億9400万円で同10・4%減、営業利益は55億3400万円で同23・2%減となった。
 樹脂添加剤の自動車向けは、世界の自動車生産の緩やかな回復を背景に核剤や光安定剤等の販売が堅調に推移した。建材向けでは、北米や中国で住宅内装材の需要が停滞し、塩ビ用安定剤の販売が低調だった。
 食品包装向けは、サプライチェーン上の在庫積み上がりや生産調整があったものの、透明化剤の販売は底堅い需要に支えられ、堅調に推移した。 ポリオレフィン樹脂に使用するワンパック顆粒添加剤や酸化防止剤は、欧州を中心に競争が激化し、販売が低調だった。
難燃剤は、家電やパソコン等の需要低迷が長期化し、筐体等に使用するエンジニアリングプ ラスチック向けの販売が低調となった。
 一方、ポリオレフィン樹脂向けは大型家電向けを中心に販売が好調に推移した。樹脂添加剤全体では、販売数量の減少により、前年同期に比べ減収減益となった。
 情報・電子化学品の半導体向けは、光酸発生剤等の製品群で半導体の生産調整による影響を受けたが、先端DRAM向け高誘電材料の販売が好調に推移した。一方、プリント基板等に使用する電子部品用エッチング薬液の販売が低調だった。
 ディスプレイ向けは、光学フィルム向け光硬化樹脂等の販売が低調だったが、大型パネルの生産が回復し、カラーフィルター向け光重合開始剤やエッチング薬液の販売が堅調に推移した。
 情報・電子化学品全体は、スマートフォンやパソコン等の生産調整に伴う材料の販売減少を、先端半導体向け製品の販売好調でカバーし増収となったが、設備投資に伴う固定費の増加もあり、前年同期に比べ若干の減益となった。
 機能化学品の自動車向けでは、エンジンオイル用潤滑油添加剤の販売が、海外での自動車生産の回復や新エンジンオイル規格の普及拡大により好調に推移した。自動車の構造用接着剤向けエポキシ樹脂や車載用電子部品向けエポキシ樹脂接着剤の販売が底堅く推移した。
 建築塗料向けでは、インドの住環境の変化に伴う需要を取り込み、反応性乳化剤の販売が堅調に推移したが、自動車、家電、スマートフォン・パソコンの需要が軟調に推移し、水系樹脂や特殊エポキシ樹脂の販売が低調だった。
 機能化学品全体では、採算性の改善に努めたが、販売数量の減少により、前年同期に比べ減収減益となった。
 2024年3月期の連結業績予想は、売上高が4260億円で前期比5・6%増、営業利益が360億円で同11・2%増、経常利益が355億円で同9・0%増、純利益が210億円で同25・2%増を見込んでいる。

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