市況悪化で減益企業増える 原料10社のゴム関連部門

2023年08月24日

ゴムタイムス社

 合成ゴム・化学メーカーの24年3月期第1四半期決算(クラレは23年12月期決算)から合成ゴムやエラストマー原料など化学部門の現況をピックアップした。中国の景気減速や在庫調整の動きを受け、出荷数量が前年を下回る部門が目立った。利益も市況悪化により前年同期を下回る企業が多かった。
 ◆日本ゼオン
 エラストマー素材事業の売上高は522億1800万円で前年同期比2・5%減、営業利益は24億6400万円で同39・3%減。中国の景気減速を受けて合成ゴムは汎用ゴムを中心に出荷量が減少。化成品は需要回復が遅れているほか、ラテックスは需給緩和の影響が続いていることで対前年同期比では減収減益。ただ、HNBRやアクリルゴムの特殊ゴムは出荷が底堅い上、棚卸資産関連費用の良化などもあり対前期比では増益だった。
 ◆三井化学
 三井EPTなどのエラストマーや複合材料が含まれるモビリティソリューションセグメントの売上収益は1274億円で同5・6%増、コア営業利益は123億円で同29・5%増となった。エラストマーは太陽電池封止材が堅調に推移したことや価格改定及び為替差、高付加価値品へのシフトによる交易条件が改善し増益となった。
 ◆住友化学
 エッセンシャルケミカルズの売上収益は1924億円で同19・4%減、コア営業損失は210億円(前年同期は100億円の利益)となった。合成樹脂やメタアクリル、各種工業薬品等は原料価格の下落により、市況が低水準で推移した。
 ◆旭化成
 マテリアルセグメントの売上高は2968億円で同12・5%減、営業利益は76億円で同71・5%減となった。このうち、基礎原料やポリマー、合成ゴム、エラストマーなどが含まれる環境ソリューション事業の売上高は1146億円で同23・6%減、営業損失は7億円(前年同期は102億円の利益)となった。
 ◆UBE
 エラストマー事業が含まれる樹脂・化成品の売上高は603億円で同15・6%減、営業損失は16億円(前年同期は19億円の営業利益)となった。合成ゴム(BR、ポリブタジエン)のエラストマー事業は、販売数量は前年同期並みだったが、原料ブタジエン市況の上昇などにより販売価格が上昇したことで増収だった。
 ◆デンカ
 エラストマー・インフラソリューション部門売上高は279億7900万円で同7・9%減、営業損失は7億900万円(前年同期は営業損失1億8700万円)となった。クロロプレンゴムは価格面では昨年度に実施した段階的な価格改定が寄与したほか、円安による手取り増があったが、販売数量は全般的な需要の減少があり減収だった。
 ◆東ソー
 クロロプレンゴムは、国内輸出ともに需要低迷で出荷は減少したが、円安進行や原材料価格高騰を背景に国内輸出ともに販売価格は上昇した。
 ◆クラレ
イソプレンの売上高は317億9500万円で同0・3%減、営業損失は27億300万円(前年同期は24億7700万円の利益)となった。イソプレンケミカル、エラストマーは、昨年後半から続く需要減退による販売量の減少に加え、市況悪化の影響を受けた。
 ◆信越化学工業
 シリコーンやセルロース誘導体などが含まれる機能材料事業の売上高は1080億円で同14%減、営業利益は256億円で同30%減となった。汎用製品群で在庫調整や市況下落の影響を受けたが、機能性の高い製品群で収益を補うことに努めた。
 ◆ダイキン工業
 フッ素化学製品全体の販売は半導体・自動車分野を中心にした広範囲での需要減速に加え、それに伴う流通在庫調整の動きなどもあり、売上高は前年同期を下回った。フッ素ゴムは自動車分野の需要減速と、それに伴う流通在庫調整の影響により、売上高は前年同期を下回った。

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