DICは8月22日、高知大学と「藍藻スピルリナ由来多糖が持つアンチエイジング作用」に関する共同論文を発表し、7月21日付の米国科学誌「iScience(アイサイエンス)」に掲載されたと発表した。同共同論文では、スピルリナに由来する多糖類が持つアンチエイジングにつながる「抗酸化作用」を科学的に証明した。
研究成果のポイントでは、線維芽細胞(同研究では皮膚線維芽細胞)を用いて、スピルリナの熱水抽出エキス(多糖含む)及びスピルリナ由来の多糖におけるアンチエイジングにつながる抗酸化作用について検討したこと。線維芽細胞を人工的に老化させると、抗酸化タンパク質SOD2が減少し、ミトコンドリアの機能は低下、細胞のコラーゲン産生も低下することを確認した。
スピルリナ由来多糖は、細胞の老化により減少したSOD2を増加させ、コラーゲン生成を誘導することでミトコンドリアの機能を回復させることを発見した。これまでに知られているSOD2を増加させる素材は、炎症反応を引き起こすものがほとんどであったが、スピルリナ多糖は炎症性シグナル伝達を介さず、抗炎症作用のある転写因子Nrf2を活性化させることでSOD2を誘導させる効果があり、炎症反応を抑制しつつ細胞の抗酸化作用を高めることを証明の4点となる。
同社は、1970年代より50種以上の健康・栄養成分を含む食用藍藻類「スピルリナ」の培養研究に取り組み、世界で初めて屋外培養に成功した。以来、藻類研究のパイオニアとして、健康食品や食用色素、食品素材、飼料分野へ展開してきた。
同社グループは、長期経営計画「DIC Vision 2030」において、「Quality of Life(QOL)社会 」に貢献するため、「ヘルスケア領域」を重点事業領域の1つに定め、ヘルスケア分野の事業拡大を掲げている。消費者の健康志向を背景に、今後も「食の安全・安心」に注力した食品やサプリメントなどの製品開発を進めていく。
2023年08月24日