東レは8月22日、2017年1月に同社とDM三井製糖が膜利用糖化プロセスの技術実証を行う目的で設立した、Cellulosic Biomass Technology(CBT社)に対して出資比率を67%から84・4%に引き上げたと発表した。同社は今回の増資により、食糧問題の回避やカーボンフットプリント低減を可能とする非可食糖の製造技術を基軸とした、非可食バイオマス由来の基幹ポリマー原料の早期事業化を目指す。なお、生産能力(増資後)は、バガス由来非可食糖1日当たり3t、キャッサバ由来非可食糖1日当たり5tとなる。
同社は、2030年までに基幹ポリマー製品の原料のうち20%を再生資源化することを目標とし、使用済みプラスチック製品のリサイクルやバイオマス由来材料への転換、原料としてのCO2使用などの技術開発に取り組んでいる。これまでサトウキビの搾りかすであるバガスを原料とした非可食バイオマスから得られる糖(非可食糖)の製造について、分離膜を用いた省エネ型の製造技術を確立した。また、バガス原料から高付加価値品であるポリフェノールの併産技術も確立している。
今回の増資を契機に、既存のバガスを原料とした非可食糖を製造する設備に加えて、キャッサバパルプを原料とした非可食糖の製造設備を新たにCBT社に導入し、キャッサバパルプ由来の非可食糖の製造能力を1日当たり5t拡充する。また、バイオマス燃料が利用可能なボイラーの導入や、排水処理の能力増強を行い、非可食糖製造における用役費のコストダウンを図る。
同技術によって製造する非可食糖は、これを用いて化学品製造する際の微生物発酵への適用可能な品質、また保存や輸送時の安定性を確認している。今後、CBT社で製造する非可食糖を、同社グループにおける各種化学品原料の非可食原料化に向けて、アジピン酸等の自社での原料開発に加えて、すでに可食糖から化学品を製造している化学企業への非可食糖の有償提供を行い、バイオマス原料化を進める企業とのビジネス連携を進める。
また、高付加価値品のポリフェノール類についても、国内外企業と連携して市場展開を進める。
さらに、2030年までに1年当たり10万t規模の非可食糖製造技術を確立し、非可食糖を原料としたポリマー原料のサプライチェーン構築により、サーキュラーエコノミー社会の進展に貢献する。
2023年08月23日