AGC、CO2原料でメタノール 三菱ガス化の製造技術適用 

2023年09月11日

ゴムタイムス社

 AGCは8月31日、三菱ガス化学が開発したメタノール製造技術を適用し、同社の建築用ガラス製造時に発生するCO2を原料として、メタノールの製造・販売を検討開始することに合意したことを発表した。本検討は同社鹿島工場で2030年頃までに事業化することを目標としており、実現した際はガラス製造時に発生するCO2を有効活用した「環境循環型メタノール」を製造・販売する事例として、世界初になる。
 近年、2050年カーボンニュートラル実現に向けたイノベーション技術として、CO2を回収・利用するCCU技術が注目を集めている。またメタノールは、基礎化学品として幅広い用途を持ち、近年ではエチレンやプロピレンへ転換する用途が拡大するなど、カーボンニュートラルに向けた活用の展開が期待されている。
 本検討では、CCU技術を用いて、日本最大規模の建築用ガラス製造設備で発生するCO2をメタノールに変換し、製造・販売することを目標としている。なお、回収したCO2を原料とした化学製品は、環境負荷低減を実現できる一方、従来製法に対しCO2の回収・変換に伴うコスト増が課題となる。この課題に取り組むため、三菱ガス化学は、既存の販売網を通じ、環境負荷の低い「環境循環型メタノール」の社会的価値を訴求し、需要家の開拓を行っていく。また、同社は本検討に加え、自社化学品事業の原料として使用しているメタンガスを「環境循環型メタノール」に置き換える検討を進め、カーボンリサイクルを前提とした化学製品の事業化も視野に入れている。
 同社グループは、中期経営計画「AGC plus-2023」における重点課題の1つに「サステナビリティ経営の推進」を定め、2050年のカーボンネットゼロを目標に掲げている。ガラス製造時に発生するCO2を原料としたメタノールの製造・販売実現にむけ、建築用ガラス事業と化学品事業が事業を横断した取り組みを実施し、サステナブルな社会の実現に貢献するとともに、継続的な成長・進化を目指す。

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