DICの樹脂材料 ブライトマーカーに採用

2023年09月12日

ゴムタイムス社

 DICは9月11日、同社の近赤外蛍光色素を用いた樹脂材料が米国マサチューセッツ工科大学(MIT)の目に見えないタグを物に埋め込み追跡できる技術「BrightMarker(ブライトマーカー)」に採用されたと発表した。
 MITは、米国で今秋開催されるユーザインターフェース分野のトップカンファレンス「UIST2023」にて同技術の研究結果を発表予定となる。
 近赤外蛍光色素はバイオイメージング(細胞活動などを画像解析する技術)などの用途で利用しているが、耐熱性や相溶性の課題から蛍光を発する樹脂材料としての実用例はほとんどない。
 一方、同社の近赤外蛍光色素は、高い耐熱性を持ち樹脂に混練できるといった他社製品にはない特性を持つことから、手術や検査などで使用する樹脂製の医療用具などに採用している。
 同社は、これまで複数の大学や企業と連携し、近赤外蛍光色素を活用した技術開発に携わり、医療の発展や社会課題の解決に貢献してきまた。
 同社の近赤外蛍光色素は、3Dプリンター用の樹脂フィラメントに混練・成型できるため、MITが開発した新技術「ブライトマーカー」における蛍光タグとしてQRコードなどの情報パターンを印字する上で重要な役割を果たしている。
 近赤外領域で発光可能な蛍光タグであれば、人の目に見えないため、意匠性などを損なうことが無く、また、秘匿性の高い情報を埋め込むことが可能になり、赤外線カメラでのみ情報を読み取ることができる。
 さらに、MITの発表した事例では、同技術がモーショントラッキング(動きを追跡する機能)や仮想現実(VR)技術の向上などにも活用できるとしている。
 例えば、蛍光タグが埋め込まれたブレスレットを手に着用すると、着用者の動きがVR環境でデジタル化して再現できることなどを示している。
 同社の蛍光色素が採用した蛍光タグは、可視光の影響を受けにくいため、従来のモーショントラッキングで使用する技術と比較して、より高感度で高精度な情報の読取りが期待でき、これらの技術向上に貢献する重要な役割を担っている。
 同社は、長期経営計画「DIC Vision 2030」で掲げたデジタル社会への貢献に向けて、スマートリビング領域における機能性材料の事業拡大を重要戦略の一つに位置付けている。
 同社はMITが開発した同技術が、今後拡張現実(AR)やVRに代表するような仮想のデジタル世界と現実世界に属するそれぞれのモノをシームレスに接続するための重要な技術となり得ると考える。
 同技術から更なる用途展開が可能であるとの見地から、引き続き市場調査を進め、様々な社会課題解決に貢献していく所存となる。

ディーアイシーの蛍光色素を用いた蛍光タグを読み取る様子

ディーアイシーの蛍光色素を用いた蛍光タグを読み取る様子

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