全体の7割が営業減益 上場プラ38社の4~6月期

2023年09月26日

ゴムタイムス社

 主要プラスチック関連上場企業の24年3月期第1四半期連結決算が出揃った。38社合計の売上高は1兆9058億4700万円で前年同期比1・9%減となった。38社中増収企業は19社(前年同期は32社)となり、増収企業と減収企業は同一だった。
 24年3月期4~6月における国内の経済環境は、コロナによる行動制限の緩和で社会経済活動の正常化が進み、持ち直しの動きが続いた。ただ、原燃料価格の高騰や物価上昇に加え、中国の景気減速が響き、減収となったプラスチック企業があった。一方、自動車の生産活動が持ち直したことや、為替が円安に振れていること、製品の価格改定などで増収を確保したプラスチック企業もあり、企業間で明暗が分かれる結果となった。
 38社中売上高1位の帝人の売上高は2448億4100万円で前年同期比0・4%増となった。売上の過半を占めるマテリアルセグメントは同1・8%の増収。同セグメントのうち、樹脂は中国の景気回復遅延や欧米の経済減速により減収となった。ただ、炭素繊維や複合成形材料が増収となり全体でも増収を確保した形となった。
 また、38社合計の営業利益は1099億9500万円で同33・2%減となった。38社中営業増益となった企業はニフコ、ダイキョーニシカワ、JSP、天馬、フクビ化学工業、天昇電気工業、ロンシール工業、サンエー化研、プラコーの9社。一方、営業減益企業は29社。うち営業損失企業は5社で、営業減益企業は全体の7割強となった。
 営業減益企業では、自動車の生産調整などで中国やアセアンなど海外地域における販売数量が減少したこと、原料価格の上昇や労務費の上昇による固定費が増加したことを主な理由に挙げる企業が目立つ。
 38社合計の経常利益は1425億9400万円で同31・1%減となった。このうち、経常減益企業は27社となり全体の7割を占めた。なお、クレハ、住友ベークライト、住友精化は国際会計基準(IFRS)を採用しているため、3社の経常利益は便宜的に税引き前利益の数値を使用している。
 38社合計の四半期純利益は1011億1300万円で同27・3%減となった。純利益で増益となったのは14社で、前年同期の21社から7社減少した。
 24年3月期通期の連結業績予想では、増収・営業増益を予想する企業は24社となった。
 なお、第1四半期の業績発表時に通期予想を修正したのはユニチカ、ADEKA、日本触媒、ハリマ化成グループ、三洋化成工業、JSP、ニフコ、ダイキョーニシカワの8社。このうち、ユニチカは売上高、利益面とも前回発表を下方修正した。修正理由は、フィルム事業の包装分野では東南アジアでの販売競争の激化で販売価格が下落していることや、樹脂事業は電子部品用途で国内外の最終製品の需要減退による影響を受けており、売上高は前回発表を下回る見込み。利益もエネルギー価格の高騰や円安によるコスト増が価格改定やコストダウン効果を大きく上回る見込みで前回発表を下回る見込み。
 三洋化成工業は売上高、利益ともに前回発表の数値を下方修正した。修正理由は高吸水性樹脂の販売がアジア・中国・日本で大きく落ち込んでいるほか、自動車、電子部品向けの製品も需要回復が弱いためとしている。
 ニフコは売上高、利益の数値とも前回発表の数値を上方修正した。修正理由は合成樹脂成形品事業が国内外で好調であること、さらに為替が想定レート以上に円安に進んだことによるとしている。

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