東レとITP Foodsが世界初 環境対応を重視した軟包装材

2023年09月26日

ゴムタイムス社

 東レ、ITP Foods(マレーシア)は9月25日、このたび東レの独自技術となる「VOCフリー・CO2排出削減を実現する水なしEBオフセット印刷システム」を適用した食品包装材を実用化し、ITP Foodsが新商品として世界に先駆けて上市する予定であると発表した。
 軟包装材は、軽量性や透明性、加工のしやすさなどの特長を持ち、食品やシャンプー・洗剤の詰め替えパウチなど各種包装用に幅広く使われており、今後も世界的な人口増加に伴い、軟包装材市場は年率3%以上の拡大が予測されている。
 一般的な軟包装材の製造工程において、文字や絵柄などの情報をプラスチックフィルム上に印刷する工程で用いられるインキには石油系溶剤を使用しており、VOC(揮発性有機化合物)の発生源となる。
 さらに、インキに含まれる石油系溶剤を加熱乾燥し、燃焼処理する設備が必要となるため、多量のエネルギーを使用している。
 このような原反フィルムへの印刷時のエネルギー使用等によって排出したCO2による地球温暖化への影響、VOC発生による労働環境への影響等が懸念されており、印刷工程でのCO2排出量削減、VOCフリー化への対応が喫緊の課題となっている。
 これに対し、東レは、印刷工程におけるVOCの発生を抑制するとともにCO2排出量の80%以上を削減するIMPRIMAを用いた水なしEB(電子線)オフセット印刷技術について、各種実証、実用化検討を進めてきた。
 今回、軟包装材の環境対応を重視するITP Foodsが東レの環境対応印刷技術に着目し、東南アジアの食材の質感の再現における他印刷方式と比較した優位性の観点から、先駆的な取り組みとして自社新商品のフィルム包装材に対して当該印刷技術を採用するに至った。商業ベースでは世界初となる。
 また、今回上市したITP Foodsの新商品の包装材には、VOCフリー印刷システムを示すP4Eマークおよび水なし平版で印刷したことを示すバタフライマークを搭載しており、環境対応印刷技術を使用していることが商品外観からも認識可能となる。
 ITP Foodsは、同成果となる新商品を、2023年10月7日~11日の日程でドイツのケルンで開催される世界最大級の食品展示会であるAnuga 2023(Allgemeine Nahrungsund Genussmittel-Ausstellung、食品・飲料総合展示会)へ出展する予定であり、同展示会をはじめとして本格的に環境対応印刷技術を用いた新商品の各国へのプロモーションを計画している。
 両社は、今後も軟包装材料製造における水なEBオフセット印刷技術を駆使した環境対応包装材料の拡大を加速し、軟包装印刷システムにおけるCO2排出削減、VOCフリー化によるサステナブルな社会の実現へ貢献していく。
 東レの事業内容は、繊維やプラスチックをはじめとする基礎素材製品の製造・加工及び販売、本社所在地は、東京都中央区日本橋室町2-1-1、設立は、1926年1月、代表者は、 代表取締役社長大矢光雄氏となる。
 ITP Foodsの事業内容は、ソース、調理ペースト、調味料の製造、本社所在地は、PMT 1238, Lorong PSPN 5, Penang Science Park North, 14100Simpang Ampat, Penang,Malaysia、設立は2020年、代表者は、(Executive Director) William Koh Hai Min氏となる。

ピー4イーマーク、バタフライマーク

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