積水化学工業は10月5日、大阪本社が入居する堂島関電ビルに国内で初めてフィルム型ペロブスカイト太陽電池を実装したことを発表した。
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて再生可能エネルギーの拡大が求められる中、同社が開発中のフィルム型ペロブスカイト太陽電池は軽量で柔軟という特長があり、シリコン系太陽電池では設置が難しかったビルの外壁などへの設置が可能となる。
現状、国内では既存建物外壁にフィルム型ペロブスカイト太陽電池を実装した例はないが、今般、「地上12階の風荷重に20年相当耐え、安定した発電性能を維持した設置方法」を積水樹脂と共同検討、「フィルム型ペロブスカイト太陽電池付き建材パネル」を完成させ、設置を行った。
両社が入居する堂島関電ビルは大規模リニューアル工事を実施中であり、2025年4月に完工予定。当該工事に合わせてペロブスカイト太陽電池を壁面に設置することで、ビルの環境負荷低減に加え、ペロブスカイト太陽電池による発電量のモニタリングや経年変化など、長期的な品質評価に活用する。
同社は今後の展開として、今回の設置方法における発電効果測定、予測値と実測値の検証に加え、既存建物外壁への設置・施工方法の検討を更に進めていく。
本年度から本格化している各種用途における技術検証と並行し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金も活用することで、1m幅での製造プロセスの確立、耐久性や発電効率の更なる向上に向けた開発を加速し、2025年の事業化を目指していく。
2023年10月06日