旭化成ら自然共生サイト あさひ・いのちの森が認定

2023年10月13日

ゴムタイムス社

 旭化成および旭化成ホームズは10月12日、国際的な生物多様性保全目標 30by30 への取り組みとして環境省が初めて認定する自然共生サイトに、「あさひ・いのちの森」が認定されたと発表した。
 30by30(サーティ・バイ・サーティ)とは、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、 回復させる(ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、2030年までに陸と海の 30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標。
 自然共生サイトとは、環境省が令和5年より開始した「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を環境大臣が認定する制度で、全国(35都道府県)で「あさひ・いのちの森」を含む122ヵ所が初めて認定された。
 今後、この認定区域は、保護地域との重複を除き、「OECM」として国際データベースに登録される予定となっている。
 「あさひ・いのちの森」は、静岡県富士市の旭化成富士支社内で、富士市沿岸部の原風景の再生を目指して2007年に開始した環境再生ゾーン。入念な事前調査を経て、旧工場跡の完全な更地に、従業員・地域有志1900人余による植樹をもってスタートした。
 以降、専門家と共に綿密な緑地維持・管理計画を着実かつ継続的に実施することで、静岡県の希少植物を含む多様な動植物の定着に成功した。
 「あさひ・いのちの森」で得た植生の知見を活用し、住宅の外構計画向けに独自開発した植栽手法が「まちもり」となる。高木・中木・低木・地被植物という高さの異なる階層の植栽を組み合わせることにより、そこに鳥や昆虫などの多様な生き物が集まり易くなる。
 そして、「まちもり」を搭載した住宅と、街中にある街路樹や公園などの緑とが繋がることで、より豊かな生態系が育まれ、地域一帯に「エコロジカル・ネットワーク」を形成していく。旭化成ホームズグループは、「まちもり」を住宅やマンション、地域開発などの様々な事業活動に取り入れて、都市の生物多様性保全の活動を推進していく。
 生物多様性条約第15回締約国会議(CBD-COP15)において、2030年までの新たな世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択された。
 この新たな世界目標に30by30が盛り込まれ、目標達成に向けて、国は2022年4月に「30by30ロードマップ」を公表している。
 30by30ロードマップでは、国立公園等の保護地域の拡張に加え、OECMを設定することが主要施策とされている。
 同社は、2022年4月より、「生物多様性のための30by30アライアンス」に参加している。

「あさひ・いのちの森」(2019年8月撮影)

「あさひ・いのちの森」(2019年8月撮影)

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