積水化学工業は10月13日、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)主催のイノベーション・ウィーク(9月25日~28日までドイツのボンで開催)にて、フィルム型ペロブスカイト太陽電池サンプルの展示とともに、開発の概要を説明したと発表した。
同社は、イノベーション・ウィーク3日目(9月27日)に開催された、「再生可能エネルギー拡充のための共同枠組み(Collaborative Framework for High Shares of Renewables)」のセッションで講演を行った。同セッションには 20ヵ国以上、約180名が参加(約80名が現地、約100名がオンライン)、会場は満員状態で、改めて再生可能エネルギーへの注目の高さが伺えた。
フィルム型ペロブスカイト太陽電池は、軽量で柔軟という特長を持ち、ビルの壁面や耐荷重の小さい屋根、あるいは曲面といった、さまざまな場所に設置が可能な次世代太陽電池で、再生可能エネルギーの普及拡大を加速させ、カーボンニュートラルの実現に大きく貢献すること、エネルギーの自給自足の観点からは、エネルギー危機への対応にも貢献することが期待されている。
同社は、独自技術である、「封止、成膜、材料、プロセス技術」により、業界に先駆けて屋外耐久性10年相当を確認し、30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築した。さらに、同製造プロセスによる発電効率 15・0%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の製造に成功している。
現在は、実用化に向けて、1m幅での製造プロセスの確立、耐久性や発電効率のさらなる向上を目指し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金も活用して開発を加速させている。また、早期の社会実装へ向け、東京都や西日本旅客鉄道、エヌ・ティ・ティ・データ、JERAなど、様々な関係先と連携して開発を進めている。
同社は、長期ビジョン「Vision2030」において、「 Innovation for the Earth」をビジョンステートメントとして掲げ、イノベーションにより「サステナブルな社会の実現に向けて、LIFEの基盤を支え、「未来につづく安心」を創造していく」ことを宣言している。
これからも、持続可能な社会の実現と同社グループの成長の両立を目指して社会課題解決に貢献し、ステークホルダーの方々に信頼される企業であり続けるための取り組みを進めていく。
2023年10月16日