三菱ケミカルのスペシャリティマテリアルズビジネスグループのパフォーマンスポリマーズが扱うTPEは、スチレン系、オレフィン系、ポリエステル系、塩ビ系、ポリウレタン系などTPEのほか、塩ビのコンパウンドや接着性樹脂などの機能性商品があるなど、製品のポートフォリオが幅広いことが特徴だ。
上半期の需要動向を振り返ると、烏星良次パフォーマンスポリマーズ(日本)事業部TPXプロダクトマネージメントグループ長は、「自動車は上半期の前半が厳しい状況だったが、後半からようやく回復基調になってきた。医療は堅調に推移している。食品包材関係は需要が伸び悩んだが計画並み。自動車の落ち込みが他のセグメントでカバーした」(烏星良次グループ長)とし、上半期の売上は減収、利益面では計画通りの損益状況になったという。
製品別では、自動車需要に大きく紐づいているオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)の「サーモラン」はエアバッグカバー用として、ブランドが構築されている。その需要動向は、自動車メーカーの減産の影響を受けていたが、上半期後半から自動車生産の回復の兆しが見えつつ、需要が上向いているようだ。
オレフィン系動的架橋エラストマー(TPV)「トレックスプレーン」も自動車の比率が高いため、自動車生産の影響を受けた。
メディカル用熱可塑性エラストマーの「ゼラス」については、医療分野は景気の影響に左右されない分野であり、「景気の影響は受けず堅調に推移した。コロナ禍で医療全体がコロナ対策にシフトなどの影響があったが、現在はコロナ前の状況に戻っている」(同)。
TPSではメディカルはコロナ前に戻りつつ、自動車分野についてはサーモランやトレックスプレーンと同様な傾向だった。一般的な産業資材用は需要が戻ってきている状況だ。
中計に挙げている「グローバル展開を加速する」の目標では、烏星グループ長は「ほぼ達成できた。各拠点に応じて最適なものを提供できるように植え付けの段階にきている」との見方を示す。
最近では、熱可塑性エラストマー「Tefabloc(テファブロック)」が、ゼットの一般軟式バット「ブラックキャノンAパワー」に採用された。バットの耐久性向上として使用されており、「今回の採用を機に広く展開していきたい。また自動車のEV化が進むなか、音の振動も含めた制振性の機能が今後求められてくる」(同)として、横展開を目指していく考えだ。
下半期は、「中国の経済の悪化とEV市場を注視していく」(同)とし、自動車は回復傾向と見ており、食品包装材は巣ごもりからインバウンド需要で堅調に推移していくと見ている。併せて、環境配慮への意識高まりからサステナブルな材料が注目されておりバイオマス・リサイクル材料を原料に用いた熱可塑性エラストマー・PVCコンパウンド・機能性商品の市場投入とISCCプラス認証取得を取り進めていく。
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