レゾナックと川崎重工業 水素発電事業開発覚書を締結

2023年10月18日

ゴムタイムス社

レゾナックは10月17日、同社と川崎重工業が同日、2030年頃の水素利活用を見据えた「川崎地区の水素発電事業開発にかかる協業の覚書」を締結したことを発表した。
 同覚書は、国際液化水素サプライチェーンの確立が見込まれる2030年頃に、同社川崎事業所で100MW以上の水素発電事業(CO2削減量70万トン相当)を開始し、クリーンなエネルギーを電力市場に供給するとともに両社で活用することで脱炭素化を目指すもの。
 水素は燃焼時にCO2を排出しないため、脱炭素社会に貢献する次世代エネルギーとして世界中で注目されている。今後、2030年ごろに国際液化水素サプライチェーンが確立することが見込まれているが、供給側の着実な歩みとともに、供給された大量の水素の具体的な活用先についても検討を進めていく必要がある。
 そのような中、両社は、NEDOのグリーンイノベーション基金事業「液化水素サプライチェーンの商用化実証」において、液化水素受入基地の建設予定地となっている川崎臨海部にある同社川崎事業所における水素発電の協業検討を開始した。
 同社グループは、半導体・電子材料、モビリティ、イノベーション材料、ケミカルなどを展開し、川中から川下まで幅広い素材・先端材料テクノロジーを持つ化学会社。
 同社は「共創型化学会社」として、共創を通じて持続的な成長と企業価値の向上を目指している。2021年に、長期ビジョンで2030年のGHG排出量削減目標を「2013年比30%削減」とし、徹底した合理化、効率化、省エネルギー、ガス燃料への転換を進めており、2050年に向けては水素などクリーンな燃料への転換を推進することでカーボンニュートラルの達成を目指している。
 川崎重工は、2010年からカーボンニュートラルの切り札である 水素に着目し、液化水素サプライチェーン全体(つくる・はこぶ・ためる・つかう)にわたる技術開発を進めてきた。2018年には世界で初めて市街地での水素100による熱電供給を達成。2022年2月には、川崎重工が建造した世界初の液化水素運搬船「すいそふろんてぃあ」による日豪間の海上輸送・荷役実証を完遂し、液化水素サプライチェーンの構築が可能であることを証明した。現在は、2021年に設立した子会社の日本水素エネルギー(JSE)を中心に、2030年までに液化水素の海上輸送技術の確立を目指す商用化実証に取り組んでいる。
 同社川崎事業所のある川崎地区は、臨海部にあることから海上輸送を通じた大規模な水素調達に適している。両社は、地の利を活かし、大量の水素の需要元となる水素発電事業の開発に関して、事業スキーム・発電システムの仕様・水素などの供給方法などについて同社川崎事業所における調査・検討を行う。
 今後両社は、同覚書による水素発電の社会実装に向けた取り組みを通じて、2030年頃の川崎地区における水素発電によるクリーンな電源供給と、我が国のカーボンニュートラルの実現に貢献していく。

レゾナック川崎事業所航空写真(中央部)

レゾナック川崎事業所航空写真(中央部)

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