合成ゴム・化学メーカーの24年3月期第2四半期決算(クラレは23年12月期第3四半期決算)から、合成ゴムやエラストマー原料など化学部門の現況をピックアップした。原材料高騰や円安進行で販売価格は上昇したが、半導体の市況悪化に伴い、半導体材料の需要は低迷し、減益となった企業が目立った。
◆日本ゼオン
エラストマー素材事業の売上高は1047億3100万円で前年同期比6・1%減、営業利益は36億4400万円で同61・3%減。合成ゴムの前年同期の出荷量は横ばい。化成品は粘着テープ市場の需要回復の遅れから、ラテックスは引き続き手袋需給緩和の影響を受け、減収減益となった。
◆三井化学
モビリティソリューションの売上収益は2613億円で同2・3%増、コア営業利益は269億円で同15・0%増となった。エラストマーでは、タフマーは太陽電池封止材向けで販売が堅調に推移した、また、価格改定及び為替差や高付加価値品へのシフトを進めたことで交易条件も改善した。
◆住友化学
エネルギー・機能材料の売上収益は1499億円で同13・6%減、コア営業利益は65億円で同51・5%減。アルミニウムの市況や正極材料の原料貴金属の市況が低水準で推移。自動車関連用途を中心に出荷は低調。
◆旭化成
マテリアルセグメントのうち、基礎原料やポリマー、合成ゴム、エラストマー等が含まれる環境ソリューション事業の売上高は2347億円で同19・4%減、営業損失は18億円(前年同期は125億円の利益)となった。
◆UBE
コンポジット事業やファインケミカル事業、エラストマー事業が含まれる樹脂・化成品の売上高は1202億円で同19・6%減、営業損失は24億円(前年同期は24億円の利益)となった。
◆デンカ
エラストマー・インフラソリューション部門売上高は572億1800万円で同9・0%減、営業損失は16億4400万円(前年同期は営業利益12億9300万円)。CRは値上げ効果があったが、需要低調や修繕費、労務費などの増加で減益だった。
◆東ソー
石油化学事業の売上高は923億円で同13・1%減、営業利益は39億円で同38・4%減となった。
クロロプレンゴムは国内輸出ともに需要低迷で出荷数量が減少したが、円安進行や原材料価格高騰を背景に国内輸出ともに販売価格は上昇した。
◆クラレ
イソプレンセグメントの売上高は468億3300万円で同3・9%減、営業損失は40億6600万円(前年同期は41億4500万円のの営業利益)となった。エラストマーは、昨年後半から続く需要減退に加え、競争激化の影響を受けた。
◆信越化学工業
シリコーンが含まれる機能材料事業の売上高は2154億円で同16%減、営業利益は517億円で同30%減。一部の汎用製品群で在庫調整や市況軟化の影響が継続したが、機能性の高い製品群で収益を補うことに努めた。
◆ダイキン工業
フッ素樹脂は売上高は前年同期並みとなった。一方、フッ素ゴムは自動車分野の需要減速とそれに伴う流通在庫調整の影響により、売上高は前年同期を下回った。
2023年11月26日