住友化学は10月25日、サステナブルな化学品原料として注⽬されるエタノールからプロピレンを直接製造する実証に向けたパイロット設備の建設に着⼿したことを発表した。同技術は、NEDOのグリーンイノベーション(GI)基⾦事業の助成を受けている開発案件の⼀つ。2025年前半に同社の千葉⼯場袖ケ浦地区に同設備を完成させるとともに、早期の社会実装を⽬指していく。
プロピレンは、今⽇主にナフサなど化⽯資源の分解により製造されており、⽯油化学製品の上流に位置付けられる基幹化学品の⼀つ。⼀⽅、エタノールは、サトウキビやとうもろこしなどのバイオマスから製造することができ、また今後、可燃ごみや廃プラスチック、CO2から⼤量⽣産する技術の確⽴が⾒込まれるなど、サステナブルな基幹化学原料として期待が⾼まっている。
こうしたなかで、同社は、エタノールを原料とするエチレンの試験製造設備を千葉⼯場内に新設するとともに、プロピレンについては独⾃の新製法の開発を進めている。同社が取り組むエタノールからのプロピレンの直接製法は、複数の中間体を経る既存プロセスと⽐べ、コンパクトかつ低コストなプロセスとすることが可能であり、堅調な需要が続くプロピレンと同時に⽔素を併産する利点がある。
同設備により、⼯業化に向け必要なデータを取得するほか、得られたプロピレンを⽤いたポリプロピレンのサンプルワークなどを併せて実施する計画。その後、30年代前半の同社での事業化や他社へのライセンス供与を⽬指していく。
同社は、⾰新的な製造プロセスの構築を通じて、カーボンニュートラルおよび資源循環社会の実現に貢献していく。
2023年10月26日