「ジャパンモビリティショー2023」(旧東京モーターショー)は10月25日、東京ビッグサイトで開幕した。参加企業は自動車業界だけでなく、他産業からの参加も増加し、過去最高の475社となった。
タイヤメーカーをはじめとするゴム関連企業も出展、住友ゴム工業、豊田合成などがプレスブリーフィングを行い、先進的な取り組みを紹介した。
住友ゴム工業は山本悟社長が登壇し、路面状況に応じて性能がスイッチする新発明のゴム技術「アクティブトレッド」について解説をした。
山本社長は「あらゆる道にシンクロするゴム」とアクティブトレッドを紹介し、「タイヤの常識に挑み、ゴムそのものを新発明した」と新技術に期待を寄せた。
新技術のポイントには、水に触れると軟らかくなる事と低温で軟らかくなる事の2つを挙げ、「水に反応して分子レベルの結合が離れることで、性質がスイッチし、しなやかなゴムに変化する。ゴムが路面に密着することで濡れた路面でも安心して走行することができる」と説明した。
この技術を初搭載する次世代のオールシーズンタイヤを2024年秋に発売する予定であることも発表した。
今後は、EVや自動運転、カーシェアでの活用を想定し、地域季節に関わらず使い続けることができるタイヤを目指していく。
豊田合成は、齋藤克巳取締役社長兼CEOが、プレゼンターとして登壇した。齋藤社長は「セーフティシステムを軸にした「安心・安全」、内外装部品を土台とした「快適」、材料リサイクルの新規事業化を含む「脱炭素」の3つの分野に注力していく」と話し、「持ち前の高分子技術を生かし、安心・安全、快適モビリティ社会の進化と脱炭素社会の実現に貢献していく。豊田合成は面白い会社、何かやってくれそうと言っていただける会社にしていきたい」と期待を示した。
ブースでは、同社の取り組みを体感してもらうために、2030年頃の小型バッテリーEVを想定したコンセプトカーを初披露した。
◆ブリヂストン
「ブリヂストンが新しい生活や未来に向け、人とモノの移動を支える」をコンセプトに、同社の技術イノベーションと共創・ソリューションを紹介した。
ブースでは、従来のタイヤ性能を向上させた上で、タイヤに求められる多様な性能を顧客ごと、モビリティごとにカスタマイズする商品設計基盤技術「ENLITEN」を訴求し、「ENLITEN」技術が搭載された北米向け市販用EV専用タイヤ「TURANZA EV」などを展示した。
また、ソーラーカーレース「2023 Bridgestone World Solar Challenge(BWSC)」で初投入される「ENLITEN」技術が搭載されたタイヤを装着したソーラーカーや
月面探査車用タイヤなども展示した。
ソリューション事業&共創からは、デジタルフリートソリューションプロバイダーとして北米で輸送事業者に対する運行管理サービスを展開する「Azuga」や、欧州で同事業を展開している「Webfleet Solutions」の活動を通じて、モビリティシステムを支えていく活動を紹介した。
◆住友ゴム工業
ブースでは「WE SYNCHRONIZE.」をコンセプトに、同社独自の新技術やソリューションサービスなど、CASEプラスサステナブルな社会のニーズ・期待に応える先進的な取り組みを紹介した。
路面状況に応じて性能がスイッチする新発明のゴム技術「アクティブトレッド」を初公開し、ゴムの性質変化を体感することができるアトラクションを設置した。
その他、タイヤそのものをセンサーとして路面状況などを可視化する「センシングコア」、地球環境に配慮した「サステナブル原材料」の活用を通じて、路面はもちろん、一歩先の状況、将来の環境にも対応するなどタイヤの持つ可能性をPRした。
◆横浜ゴム
「ヨコハマが創る未来のタイヤ」をテーマに、開発中の先進技術と、EV対応技術やサステナブル技術などを紹介した。
先進技術ではCASE、MaaSなどモビリティ需要の変化を見据えた技術として、センシング機能を搭載したセンサータイヤテクノロジー、広い車室や低床化に対応する高負荷小径タイヤ、パンクしにくいタイヤを目指すセルフシールタイヤなどを展示した。
また、空力をコントロールし車の性能向上に貢献するエアロダイナミクスフィンタイヤ「ADVAN A50」を参考出品するほか、スポーツモードとコンフォートモードを切り替えられる未来のスポーツタイヤコンセプトを初披露した。
EV対応技術では今秋から欧州を皮切りに発売するEV専用ウルトラハイパフォーマンスサマータイヤ「ADVAN Sport EV」を初展示するほか、EVや大型SUVなど車両の高重量化に対応するHLC(ハイロードキャパシティ)についても紹介した。