横河ソリューションサービスは10月31日、マイクロ波化学とマイクロ波加熱を利用した小型分散型ケミカルリサイクルシステムを共同で開発する契約を締結したことを発表した。
両社はマイクロ波化学の持つ高効率なプラスチック分解技術と、同社の持つ熱分解プロセスの連続制御による自動化技術に加え、再生可能エネルギーを有効活用するためのエネルギー管理システム(EMS)や電力トラッキングシステムを組み合わせることにより、小規模で高効率なリサイクルシステムを構築することを目指す。
マイクロ波化学は、PE、PP、ポリスチレン(PS)の連続式熱分解機能を内蔵した、小型分散型ケミカルリサイクルシステムの中核設備を開発する。同社は、熱分解プロセスの状態やリアルタイムによる生成物の成分分析・推定と、そのための計測手段の検討を行う。同社グループが有するモデリング技術も応用しながら、中核設備における熱分解プロセスの連続制御による自動化とプロセスの最適化を目指す。また、カーボンニュートラ ルな再資源化を可能にするために、中核設備と組み合わせるシステムを開発する。この中核設備の電源として再生可能エネルギーを有効活用できるように、エネルギー管理システム、電力トラッキングシステムに加え、中核設備の運転状況や設備の状態に関するデータをクラウド経由で取得し、データ解析することで、継続的な改善と保守コストの低減につながるシステムも開発する。
同計画では、2023年度から2024年度にかけて、ユーザーのニーズを取り入れるプロトタイピングを行って機能・仕様を具体化し、2025年度に小型分散型ケミカルリサイクルシステムの商用システムを開発する。その後、2026年に事業化することを目指す。
同社とマイクロ波化学は、小型分散型ケミカルリサイクルシステムの共同開発と並行して、廃プラスチックの回収・輸送から、再生原料の精製・再重合および再生資源の流通に至るまで、一連の工程に関与する小売業者、化学メーカー、石油会社など、各社とコンソーシアムを組む予定。サプライチェーンで連携し、各地に設置された小型分散型ケミカルリサイクルシステムを含む関連設備をクラウドで共有することで、カーボンニュートラルを追求できる社会の実現を目指す。また、今回開発する小型分散型ケミカルリサイクルシステムを用いた事業化については、今後両社で協議していく。
2023年11月01日