旭化成は10月31日、リチウムイオン電池(LIB)用セパレータ「ハイポア」の米国、日本、韓国における塗工能力の増強を決定したと発表した。これら能力増強による設備投資額は400億円となっている。
同社グループは、LIB用湿式セパレータ「ハイポア」としてポリオレフィン微多孔膜(基材膜)と基材膜の上にセラミック等を塗工した膜(塗工膜)の 2 種類の製品を供給している。「中期経営計画2024~Be A Trailblazer~」においてLIB用セパレータ事業を含む「蓄エネルギー」をグループの次なる成長を牽引する事業である1つに位置付けており、電気自動車等の車載用途を中心に急速に成長するLIB用セパレータ市場の旺盛な需要に対応すべく積極的な製造能力拡大を行っている。
なお、設備増強の地域は米国(ノースカロライナ州シャーロット)、日本(宮崎県日向市)、韓国(平澤ピョンテク市)で、塗工能力は約7 億㎡/年。稼働時期は2026年度上期より順次商業運転開始する。
塗工膜の生産体制の拡充に向けた設備投資を実施することで、同社グループの塗工能力は約12 億㎡/年となり、電気自動車約170万台に相当する供給能力を備えることになる。これにより高機能かつ長寿命な車載用途向けの湿式セパレータを供給し、北米、日本、韓国など各市場におけるLIBサプライチェーンの構築に寄与することが可能になる。
今後さらに車載用途向けLIB用セパレータの需要拡大が見込まれる北米市場ならびに日本市場に向けた供給体制を一層強固なものとするため、引き続き「ハイポア」の新たな製造拠点設立等を含む積極的な投資を検討していく。
2023年11月01日