CRが需要低迷で減収減益 デンカの4~9月

2023年11月10日

ゴムタイムス社

 デンカは11月8日、決算説明会を開催し、 今井俊夫社長が24年3月期第2四半期連結決算の説明を行った。
 売上高が1913億6900万円で前年同期比5・7%減、営業利益は105億3500万円で同42・5%減、経常利益は80億8700万円で同52・5%減、四半期純利益は65億5900万円で同54・2%減となった。
 営業利益の増益要因(前年比)は、数量差が93億円、変動原価差が35億円、コスト差が7億円のマイナス要因に対して、売価が58億円のプラス要因となり、全体で75億円の減益となった。
とくに、数量差では、クロロプレンゴム(以下、CR)の工業や接着剤用途が減少したほか、自動車用途は回復傾向も市中在庫の調整が続いている。その上、民生(スマートフォンやPC、家電)向けの需要も減少したという。またコスト差については、米国DPEでの修繕費や労務費が増加したことで利益を圧迫した。

 セグメントのうち、エラストマー・インフラソリューション部門売上高は572億1800万円で同9・0%減、営業損失は16億4400万円(前年同期は営業利益12億9300万円)となった。
 今井社長は「CRは値上げ効果があったが、需要低調や修繕費、労務費などの増加により減益となった」と述べた。
 2023年度通期連結業績予想は、前回発表予想を見直した。売上高は4000億円(前回発表予想4300億円、増減率7・0%減)、営業利益は190億円(同330億円、同42・4%減)、経常利益は120億円(同290億円、同58・6%減)、当期純利益は110億円(同220億円、同50・0%減)を見込んでいる。

 CRについては、自動車用途の需要は回復傾向であるが、想定以上に市中在庫の水準が高く、工業や接着剤用途も需要が低迷が続くと見ており、24年度以降、工業や自動車用途を中心に緩やかな回復をしていくと捉えている。また販売動向では、需要低迷が長期化し、数量が大幅に下振れるほか、他社品との競争激化により、販売価格が下落すると見込んでいる。
 下半期のCRの減少幅が広がることについて、今井社長は「理由は2つある。ひとつは市場環境の厳しさが継続していくことだ。ただ、下半期が数量や価格についても底になるだろう。2つ目は、青海工場の定修と製造する上での電力構造の問題。この2つがマイナス要因っていくが、24年度から回復していく」と述べている。
 同社は、2023年度の業績低迷を予想するなか、2024年度に向けた業績改善策を発表した。
 2024年度の見通しとして、2021年の過去最高益を更新以降、経済環境の変化により、2023年度も減益予想とし、業績改善策を実施し、2024年度の業績回復を見通すとしている。
 CRの業績改善策として、数量差はCR事業の最適化を目指し、需要動向を見極めた販売や生産体制の最適化を行っていくとしている。コスト差では、全セグメントで社外コンサルの知見も積極的に取り入れた包括全社プロジェクト「全社コストダウンプロジェクト」を発足していく。

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