住友理工は11月9日、自動車の窓に求められる視認性(透明性)・傷付き防止性・耐久性を有する同社開発の遮熱フィルムがマレーシアにおいて、車載用途として採用され、その普及が着実に進展していることを発表した。
鉄道・建物窓用として販売しているリフレシャインは、日射熱流入の抑制(遮熱)と室内熱流出の抑制(断熱)が可能な高透明遮熱・断熱窓用フィルム。夏場は太陽光エネルギーの中で、暑さの要因となる近赤外線を室外に反射させ、近赤外線の室内への透過を90%以上防止し、室内の温度上昇を抑制する。冬場は、暖房機器から発生する遠赤外線の68%を室内側に反射し、窓からの室内熱の流出を防ぐことが可能。さらに透明性とガラス破損時の安全性を兼ね備え、通年で窓際の快適性向上や空調電力削減に貢献している。
同社は、2010年より建物用リフレシャインの販売を開始した。現在、国内では大型ショッピングセンター・カーディーラー・レストランの店舗、そして学校・図書館などの公共建築物、オフィスビル・工場に採用されている。さらにJR各社、公民鉄道事業者の鉄道車両(客車・運転席)の窓にも設置されている。
同社では2018年より窓用フィルムの用途拡大を目指し、マレーシアで遮熱フィルムの販売・施工を手掛けるEcotint(M)Sdn Bhdと協業し、車載用フィルムの開発に着手した。現在、Honda Malaysia Sdn Bhd.をはじめとする日系自動車OEMに採用されている。
同製品は、赤外線吸収剤をナノレベルのサイズに均一に分散することで、運転時の視認性確保と、太陽からの熱(近赤外線)を吸収する遮熱性能を両立している。フロントとフロントサイドガラスに装着され、約10万台の採用実績がある。またマレーシアでは、約1000台の警察車両へ、同社フィルムが実装されており、同社グループは今後、東南アジア各国・インドへの拡販活動を強化していく計画。
同社グループは、経営Vision「2029年 住友理工グループVision(29V)」にて、2029年のありたい姿を「理工のチカラを起点に、社会課題の解決に向けてソリューションを提供し続ける、リーディングカンパニー」と設定している。29Vの公益価値(非財務目標)の一つである地球環境保全とともに、製品開発を通じて、人々の暮らしにおける快適性の向上、自然環境に配慮した持続可能な社会実現に向けた活動に注力していく。
2023年11月13日