事業利益は3・4倍に 住友ゴム工業の1~9月期

2023年11月13日

ゴムタイムス社

 住友ゴム工業の23年12月期第3四半期決算(IFRS)の売上収益は8507億200万円で前年同期比8・9%増、事業利益は419億6400万円で同239・1%増、営業利益は414億4300万円で同321・3%増、四半期利益は272億500万円で同89・3%増となった。
 なお、23年7~9月(第3四半期)の事業利益は249億円と過去最高益を達成した。
 第3四半期の事業利益の増減要因を見ると、原材料で70億円、価格が233億円、海上運賃が327億円、為替が27億円、スポーツが6億円、産業品他が5億円の増益要因となった。一方、減益要因は数量・構成他で253億円、直接原価が75億円、固定費が18億円、経費が26億円となり、合計で296億円の増益となった。
 セグメント別では、タイヤ事業の売上収益は7205億9400万円で同9・0%増、事業利益は318億5300万円で同835・3%増となった。国内新車用タイヤは、世界的な半導体不足等による自動車メーカーの生産制約は緩和してきており、足元の販売は前年同期を上回った。
 国内市販用タイヤは、市況の停滞に加え、7月からの冬タイヤの値上げの影響もあり、第3四半期の販売がやや低調に推移したこともあり、前年同期から減少した。
 海外新車用タイヤは主要市場の中国で前年同期割れとなったことなどから、前年同期をわずかながら下回った。
 海外市販用タイヤは、アジア・大洋州地域において中国では販売はコロナ影響で大きく落ち込んだ前年同期を上回ったが、市況低迷の影響で低水準にとどまった。
 一方、東南アジアも総じて市況が低調な中、販売が前年同期を下回った。欧州はインフレ進行の影響で消費マインドが低下しタイヤ需要が鈍化していることに加え、暖冬により冬タイヤの需要が低調だったこともあり、販売は前年同期を下回った。 米州地域は、北米では低採算品の販売を抑制したこともあり前年同期を下回ったが、主力のファルケンブランドは市場で好評を得ているワイルドピークシリーズは販売が好調で前年同期を上回った。南米は海上運賃の下落などを背景にマーケットに輸入品が増加したが、ほぼ計画通りの販売を行え、前年同期並みとなった。
 スポーツ事業の売上収益は972億5600万円で同8・2%増、事業利益は89億円で同7・8%増となった。ゴルフ用品は、日本は減収となったが、北米・韓国など海外を中心に販売の好調を維持した。
 テニス用品は、物価高騰の影響などもあり販売数量は減少したが、海外での販売にかかる円安の影響もあり売上収益は前年同期を上回った。
 ウェルネス事業では、値上げ効果や新規総合店の開店もあり、売上収益は前年同期を上回った。
 産業品他事業の売上収益は328億5200万円で同8・4%増、事業利益は11億9200万円で同117・1%増となった。国内の使い切りゴム手袋やOA機器用ゴム部品で販売が減少したが、医療用ゴム製品やインフラ事業などで受注が増加した。
 23年12月期通期連結業績予想は前回公表(8月7日)から売上、利益いずれも上方修正した。

 売上収益は、半導体不足による自動車メーカーの減産基調が緩和傾向にあることや、円安効果もあり前回発表予想を上回る見込みとなった。利益面は、原材料価格の高騰影響の緩和や高機能タイヤ拡販による構成の改善等もあり事業利益、営業利益、当期利益も前回発表予想を上回る見込みとなっている。
 23年12月期通期の売上収益は1兆1800億円(前回発表1兆1700億円、増減率0・9%増)、事業利益は630億円(同500億円、同26・0%増)、営業利益は460億円(同410億円、同12・2%増)、当期利益は290億円(同230億円、同26・1%増)を見込んでいる。

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