レゾナックは11月15日、半導体材料の生産や出荷などに関する情報の一元管理・可視化を目的に、サプライチェーン・マネジメントシステムの構築を進めていることを発表した。
半導体材料12カテゴリーについて既に7カテゴリーの運用を開始し、残り5カテゴリーについても来年度末までに開始予定。半導体が経済安全保障の観点から重要物資に位置づけられるなか、サプライヤーからお客さまに至るサプライチェーン上のリスクの早期検知や複数拠点間での連携強化による生産ラインの効率的稼働を目指す。
近年、経済安全保障の観点から重要物資に位置づけられる半導体は、そのサプライチェーンがグローバルに広がっているため、地政学的対立などによるサプライチェーンの途絶リスクが顕在化している。一方で、サプライチェーン全体でのCO2削減や労働環境改善などへの対応も必要になっている。
こうした中、同社では製品を安定供給し且つ競争力を維持・強化していくために、サプライチェーン・マネジメントシステムの構築を進めている。今回の取り組みは、経済産業省の「デジタル技術を活用したサプライチェーンの高度化支援事業」に採択された。
同システムは、製品や用途ごとの在庫、販売データなどをクラウド上で管理し、ユーザーはアプリから各情報にアクセスし、データの入力を行える。また、製造のプロセス条件やCO2排出量、製品品質から作業者の労働状態にいたるまで、各要素をデジタル化しモニタリングする。
これにより、市場環境や社会情勢によるサプライチェーン上のリスクを早期に検知できるほか、拠点ごとの生産状況を把握して各拠点の稼働を適切にコントロールし、必要に応じて複数拠点間で生産をカバーし合うことで、顧客のニーズへの迅速な対応やリードタイムの短縮などを見込んでいる。加えて、近年顧客らから求められるケースが増えている、環境負荷の情報開示や強制労働などの人権侵害を行っていないことの保証などについても、同システムの導入により迅速に対応できるようになる見込み。
今後も同社は、調達から生産、デリバリーにいたる情報を可視化して一元管理することで、リスク対応を含めた事業判断のスピード向上、事業最適化を進めていく。
2023年11月16日