ISCC PLUS認証取得 東レ、フランス子会社で

2023年11月21日

ゴムタイムス社

 東レは11月20日、フランスの子会社Toray Carbon Fibers Europe S.A.(CFE)のラック工場およびアビドス工場で生産する炭素繊維について、持続可能な製品の国際的な認証の一つであるISCC PLUS認証を取得したと発表した。
 ISCC PLUS認証は、マスバランス方式によるバイオマスや再生材料などに由来する製品について、グローバルなサプライチェーン上で適切に管理・担保する認証制度。今回の認証取得により、CFEはバイオマス原料またはリサイクル原料をマスバランス方式で割り当てて使用し、炭素繊維を生産、供給することが可能となった。今後同社製品(炭素繊維・プリプレグなど)のライフサイクルインベントリ(LCI)を削減し、ユーザーの製品のライフサイクルアセスメント(LCA)改善に寄与するとともに、循環型社会の構築にも貢献できる。
 CFEは認証を受け、バイオマス原料またはリサイクル原料を用いた炭素繊維の生産を2023年内に開始する。同社の愛媛工場では2024年3月までにISCC PLUS認証を取得し、2024年内に生産を開始する。また、同社の米国の子会社Toray Composite Materials America,Inc.(CMA)のディケータ工場(アラバマ州)では2024年内に認証取得予定となっている。これにより、2024年内にも、日米欧の生産拠点でバイオマス原料またはリサイクル原料とする炭素繊維を生産する体制を構築し、世界各地のユーザーに安定的な供給を可能にする。
 カーボンニュートラルの価値を共有するユーザーから要望が既にあり、2023年末から環境貢献に強いニーズのある自動車やモバイル端末などの産業用途向けに提供を開始する。適用用途を拡大しつつ、将来的には航空、スポーツ用途にも拡張していく予定。
 同社グループの炭素繊維複合材料事業は、2050年のカーボンニュートラル達成に向けたマイルストーンを設定し、様々な取り組みを開始している。中期経営課題「プロジェクトAP-G2025」においては、「お客様の製品のLCA改善効果の定量化」、「当社製品(炭素繊維・プリプレグなど)のLCI削減」、および、「マテリアルEco-SYSTEM(バイオ原料活用・リサイクル)の促進」を活動の三本柱として、サステナブルな社会実現に向けた取り組みを推進している。炭素繊維の環境改善モデルとして、バイオマス原料またはリサイクル原料を用いた炭素繊維を生産し、連続繊維として使用いただき、使用後の製品、あるいは工程端材をリサイクルして、不連続繊維を取り出し、新たな用途に活用、最終的に粉砕して水質浄化や土壌改良の機能を持つ形状にして処理することで、自然から得られる原料を有効活用し、最後は環境に優しい状態で自然に返す新たなマテリアルEco-Systemを構築していく計画となっている。

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