島津製作所 プラスチックの選別
分析技術でエネルギーを効率活用

2012年01月16日

ゴムタイムス社

 (株)島津製作所は、石油・ガスなどに加え、太陽光や風力などますます多様化するエネルギー新時代に向けて、エネルギーのより効率的な活用に貢献するためのさまざまな技術開発に取り組んでいる。自動車分野では、大量に発生する廃車の使用済みプラスチックのリサイクル率を向上させることが課題となっているが、同社は多くの素材が混在した自動車ゴミの中から再利用可能なポリプロピレンだけを高精度で選別するための技術開発を進めており、エネルギーの効率的活用をめざしたマテリアルリサイクルの確立に貢献していくという。

 国内自動車分野では、2005年に施行された自動車リサイクル法のもと、年間に約360万台発生する廃車のすべてが回収され、取り外された金属・ゴム・プラスチック部品などのリサイクル利用が進められている。廃車手続きがされた自動車は、ディーラーや整備事業者から解体事業者に持ち込まれ、再使用可能なエンジンや電装品は部品リサイクルが、再資源化可能なタイヤや非鉄金属などは素材リサイクルが行われている。

 このように自動車分野では構成部品の多くをリサイクルする仕組みがあり、資源の有効活用と環境負荷低減への取り組みが行われている。しかし、先の自動車リサイクル法では、2015年までに達成すべき目標として、さらに厳しいリサイクル率90%が掲げられており、自動車メーカーにはより一層のリサイクル促進が求められている。中でも、再生利用可能な部分を取り除いた後の自動車ゴミ(ASR:Automobile Shredder Residue)に含まれる使用済みプラスチックは、複数の素材が混在しており分別することが難しいため、これまでは焼却し熱エネルギーとして利用するか、埋め立て処分を行うしか方法がなく、大きな課題となっていた。

 現在、同社はフーリエ変換赤外分光光度計などの高精度な分析機器を応用した自動車分野向けの使用済みプラスチック選別技術の開発を進めている。この技術は、細かく破砕したフレーク状の自動車ゴミ(ASR)を順次測定し、素材ごとに選別するもの。自動車の使用済みプラスチックの約50%を占めるポリプロピレンの選別を目的としており、異なる素材の混入を防ぐため、高精度な識別性能と正確に素早く分別する技術の実現を図っていくという。

 この選別技術を使ったシステムは、ポリプロピレンの識別率99%以上、1時間に100kgの選別処理能力をめざしている。今後技術開発を進め、現場でのシステムの実証テストを重ねたうえ2014年に国内で発売し、2015年には国内市場で20台を販売、5億円の売上をめざすという。また、世界市場への展開も進めるとともに、家電やOA機器などの他分野へも展開を図ることにより、その3年後には年間20億円の事業規模をめざす考えだ。

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