日本ゼオンは12月5日、リチウムイオン電池の電極製造方法において、現行法に代わる新たな技術を確立し、関連する材料の商業化に向けて目途付けを行ったことを発表した。
電気自動車の普及などを背景に拡大の一途を辿るリチウムイオン電池市場において、環境負荷低減、かつ低コストの電池製造方法開発が望まれている。長年電極用バインダーを研究開発してきた同社は、電極内の様々な界面を制御する技術を有する強みを活かし、リチウムイオン電池用電極の革新的製造方法の一つであるドライ成形法の技術開発に取り組んできた。
今回技術確立したドライ成形法(同技術)は、現状のウェット塗工法とは異なり、電極の大規模な乾燥工程が不要となることで、CO2排出量の削減や設備投資額の減少に貢献することが期待されている。
現在一部において、ドライ成形法がすでに実用化されているが、今回同社が開発した同技術は、正極および負極両方の電極に適用可能であり、かつ成形速度もウェット塗工法と同等以上を実現することができる。
また、同技術を活用して製造される電極は、有機フッ素化合物=PFAS(通称:ピーファス)を含まない材料で構成されており、今後厳しくなると予想されるPFASに対する制約にも対応した環境負荷の小さい世界初の技術となっている。
同社は、今後は昨今の環境規制の高まりに配慮した材料および技術開発を通じて、エネルギー分野へ貢献していく。
2023年12月06日