旭化成は12月6日、アニオン交換型の水電解装置用の膜「Anion-Exchange Membranes(AEM)」を開発するカナダIonomr Innovations Inc.(Ionomr社)への出資参画を決定したと発表した。
同社は出資を通じ、研究開発面でのIonomr社とのコラボレーションを進め、AEMに関する知見を蓄えるとともに、同社が保有する知見・技術を活用し、Ionomr社の膜の性能向上も支援する。
同社は2010年よりアルカリ水電解による水素の製造技術の開発を開始し、これまで国内外で多くの実証を重ねてきた。2020年にはNEDO事業で建設された福島県浪江町の福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)において、10MW級大型アルカリ水電解システムを設置し、稼働を続けている。2023年11月にはマレーシアにおける60MW級アルカリ水電解システムの建設を含む水素製造プラントの基本設計に関する覚書をマレーシアPetroliam Nasional Bhd(Petronas)の100%子会社であるGentari社、日揮HD社と締結したことを発表した。2025年の事業化に向けて、開発・実証活動を加速させている。
Ionomr社は2018年に創業したカナダのスタートアップ。水電解にはアルカリ水電解型を含め、いくつかの方式があるが、Ionomr社が手掛けるアニオン交換型は再生可能エネルギーを利用する際に特に求められる負荷変動対応で優れる他、希少金属を使わないことからコスト面でのポテンシャルも期待されている。
今後、同社は長年蓄積してきたノウハウの提供を含め、Ionomr社との研究開発における連携を強化していく。
2023年12月07日