帝人フロンティアは12月７日、独自の製糸技術を用いることでポリエステルとナイロンの長繊維の単糸が均一に混じり合う特殊異型断面マルチフィラメント糸を新たに開発するとともに、この原糸を最適な織編物構造体とすることで次世代型の高質感・高機能素材「ミクセルＮＰ」を開発したと発表した。
「ミクセルＮＰ」は、深みのある色合いや、きめ細やかなシャンブレー外観と嵩高なスパン調風合い、吸汗速乾性や耐摩耗性など、ポリエステルとナイロンの質感および機能をあわせ持つ。
同社は、「ミクセルＮＰ」を２０２５年春夏の国内、海外のアウトドア・スポーツ向けの重点プロモート素材と位置付けて拡販を図っていく。
近年、スポーツアパレル市場では、スポーツ・アウトドアとライフスタイルが融合したファッションスタイルが拡大しており、優れた機能性とともに、従来とは異なる新しい外観や風合いをあわせ持つ商品に対するニーズが高まっている。
また、スポーツ・アウトドア衣料には、ポリエステルやナイロンを多く使用しており、ポリエステルはストレッチ性や寸法安定性、吸水速乾性、ナイロンは耐摩耗性や色の鮮明性などの特長を活かした開発がそれぞれ進められてきたが、ポリエステルとナイロンの質感や風合い、機能を融合した素材開発は進んでいなかった。
こうした中、同社は、優れた機能性とともに、新しい外観や風合いをあわせもつ素材開発を進めてきたが、このたび、異なるポリマー原料を同時に異型断面糸として紡糸する独自の技術を用いることで、ポリエステルとナイロンの長繊維の単糸が偏ることなく均一に混じり合う新しい特殊異型断面マルチフィラメント糸の開発に成功した。
さらに、この原糸に織編構造体設計技術や染色加工技術を施すことで、ポリエステルとナイロンの質感および機能の融合を実現する、次世代型の高質感・高機能素材「ミクセルＮＰ」を開発した。
「ミクセルＮＰ」には３つ特長がある。
１つ目は、独自の原糸技術によって開発した特殊異型断面糸は、ポリエステルとナイロンの長繊維が単糸単位で均一に混じり合う設計にしているため、深みのある色合いや染着差によるきめ細やかなシャンブレー外観を有すという点。
２つ目は、原糸は緩やかなＶ字型の異型断面のため、嵩高性やスパン調風合いをあわせ持つとともに、ソフトな風合いも有すという点。
３つ目は、織編生地表面や構造体中に、ポリエステルとナイロンが均一に混じり合うことで、ポリエステルの吸水速乾性や形態安定性、ナイロンの耐摩耗性や発色性など、両方の素材の特長をあわせ持つという点となる。
原糸の工程での技術内容は、異ポリマー同時紡糸技術と、特殊異型断面紡糸技術、糸加工の工程での技術内容は、高捲縮仮撚り技術、製織整編の工程での技術内容は、適正織編構造体設計技術、染色加工の工程での技術内容は、高外観を発現させる高発色染色技術、機能性付与加工技術を採用している。
「ミクセルＮＰ」の外観は、深みのある色合いで、きめ細やかなシャンブレー、風合いは、嵩高、スパン調風合いとなる。機能性として、ポリエステル由来の部分は、吸水速乾性、撥水性、形態安定性、ストレッチ性を持ち、ナイロン由来の部分は、耐摩耗性、優れた発色性を持つ。
今後は、２０２５年春夏のアウトドア・スポーツ向けへ販売を開始し、その後、インナーおよび、ファッション衣料などの機能性衣料向けへと幅広く展開し、２０２６年度に50万ｍの販売を目指す。
ミクセルＮＰ
