三宝化学工業が業務提携 中国産ハイドロキノン取扱開始

2023年12月08日

ゴムタイムス社

 三宝化学工業は12月6日、フッ素化学品、高純度特殊ガスの輸入販売を手がけるUniPoと、上甲電子有限公司(上甲社)が生産するハイドロキノンの輸入販売に関する業務提携に合意したことを発表した。
 販売開始は2024年1月を予定し、日本市場(日系企業の海外拠点を含む)への初年度販売目標を500トンとして、今後、市場動向を見極めながら、ハイドロキノンおよび1,4-ベンゾキノンの誘導体(TBHQ、DBH、DAH、BHA、p-アミノフェノールなど)を、順次市場に投入する予定。
 上甲社は2008年に設立。中国三大マンガンメーカーの一つで、マンガンの生産量は年間20万トンに達する。上甲社のハイドロキノンは、アニリン法によって生産され、年間2万トンのキャパシティーを有している。
 ハイドロキノンの生産時に発生する副生物は、肥料や電池材料に用いられることから、環境への配慮もしつつ、コスト的にも優れた生産方法を採用している。
 ハイドロキノンはゴム薬品、染料中間体、有機合成還元剤、重合防止剤といった用途に用いられ、日本でのハイドロキノン生産量は年間15000トン以上とされている。世界的に、ハイドロキノンに関する需要が拡大し続け、年7%とも言われる伸び率での市場拡大が予測されているが、これに対して、日本市場は常に供給がタイトな状況が続いている。
 ハイドロキノンの製法はアニリン法(マンガン法)、フェノール法(クメン法)、フェノール法の派生となるDIPB法がある。
 アニリン法は古くからある製法だがマンガン・鉄などの副生物が多く、環境負荷も大きいことから、世界的な主流はフェノール法に移った。中国では8社がアニリン法でハイドロキノンを生産していたが、現在は全ての企業が生産を停止している。
 上甲社では、ハイドロキノンを生産するためにマンガンを使用するのではなく、電池・電子向けマンガンを生産するためにハイドロキノンが産出されるという、逆の関係にある。従って、他の副生物も肥料などに利用され、環境負荷が少なく、コスト的にも優れた生産システムを確立している。
 フェノール法は空気酸化により容易にフェノールからハイドロキノンが生成され、環境負荷が小さく、アニリン法に比べ低コストで生産される事から主流になったが、同時にカテコールが副生される。触媒を用いることで、ハイドロキノンとカテコールの比率を変化させることは可能だが、カテコールの需要規模が小さいためハイドロキノンの生産量が制限されている状況となっている。
 同社は、薬品、化学製品の輸入・販売のほか、各種製造も取り扱い、暮らしを支えるパートナー企業として、60年以上の歴史を築いてきた。今後も、様々な事業を通じ、人々や地域の発展に寄与していく。

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