ブリヂストンは12月8日、「第13回ブリヂストングループ・グローバルTQM大会」を開催したと発表した。同大会は、「最高の品質で社会に貢献」を使命とする同社において、革新的な改善事例をグローバルで共有して相互研鑽することが目的。
同社の企業活動の基盤である「品質へのこだわり」は、同社のDNAであり、創立92年歴史の中で培ってきたグローバルでの財産。イノベーションと継続的改善を推進し、地道に現場での業務品質向上に取り組むことは、今後の成長へ向けても全てのベースとなる。同大会は、業務品質向上のグローバルへの浸透を継続・推進し、オペレーショナルエクセレンスの追求を徹底するための代表的な活動。2023年は、世界各地域・事業所から応募された改善事例の内、最終選考として16件が発表され、スペイン、アメリカ、ベトナム、日本などの計9つの事業拠点が表彰された。同社が品質宣言として掲げる「お客様価値・感動を創造する」ことを高い次元で実現していくための優れた事例として、「データ活用による航空機用タイヤのリトレッド可能回数の向上」に取り組んだ日本の技術センター(東京都小平市)がグランプリを受賞した。
同社の航空機用タイヤは、世界中の様々な空港・滑走路にて航空機の離着陸を支えている。タイヤ1本当たり30tにも上る重量を支えながら約350Km/hの速度で離着陸を繰り返し、着陸時のタイヤ表面温度は250℃以上、フライト時は高度10000mで気温マイナス45℃の環境に対応するなど、航空機用タイヤには非常に過酷な条件下での安心安全を守ることが求められる。そのためには多くの高機能部材を組み合わせた設計と製造が必要で、同社の高度な匠の技がそれを支えている。
航空機用タイヤは航空機の離着陸数百回毎に交換され、新品タイヤは複数回のリトレッドが可能。リトレッドは、高耐久なケースを再利用して、摩耗したトレッド部のみを更新することで、高い資源生産性と環境負荷低減によりサステナビリティに貢献する取り組み。様々なエアラインや空港で使われるため、タイヤ使用環境が多様であると共に、新品タイヤ製造過程における暗黙知としての匠の技による部材配置精度との組み合わせで、更なるリトレッド回数の向上が難しい状況にあった。この課題に対し、製造現場の暗黙知の可視化と工程への落とし込みにより、リトレッド回数を向上することに挑戦している。
リアルxデジタル 融合による新しい価値創造の取組みとして、デジタルを活用し、新品タイヤ1本あたりの製造過程において、7000超のデータを収集し、難しい作業のポイントなど、匠の技として、暗黙知となっていた熟練作業員の手作業による製造過程を可視化し、標準化へ取り組んだ。そのデータと、航空機に装着、使用された後のタイヤの状況を示すデータを組み合わせたビッグデータの解析により、タイヤ1本毎の各部材の配置精度と市場での使用環境との関係性を洗い出し、対策を検討することができた。
その結果、匠の技を再現できる部材カット治具の開発や、製造方法の標準化などを行うことで、暗黙知であった匠の技を形式知化し、ブリヂストンの強いリアルを進化させたことで、リトレッド回数に影響が大きい部分の精度を上げ、リトレッド回数の更なる向上に繋げた。これにより、タイヤ1本1本をより長く大切に使うことができ、資源生産性の向上や環境負荷の大幅な低減に大きく貢献している。
同社は、現場での継続的な改善活動により、企業コミットメント「Bridgestone E8 Commitment」で掲げる8つの価値(Energy, Ecology, Efficiency, Extension, Economy, Emotion, Ease, Empowerment) を、従業員・社会・パートナー・ユーザーと共に創出し、持続可能な社会を支えることにコミットしていく。
2023年12月11日