昨年は、世界的な物価上昇と金融引き締め政策、ウクライナや中東における地政学的緊張などの影響がある一方、コロナ渦からの回復が進み、世界経済は緩やかに持ち直してきました。このような経営環境の下、当社では、年初公表した中期計画の着実な実行と収益改善に全社を挙げて取り組みました。
中期計画では、2025年までは既存事業の選択と集中・成長事業の基盤づくりに注力し、2026年以降、事業ポートフォリオ最適化・成長事業拡大で再成長につなげることを主眼としています。初年度である昨年は、選択と集中の取り組みとして、収益性や成長性などで各事業を位置づけ、約10の事業・商材を構造改革事業として選定のうえ、優先度を決めて順次対策を進めています。最優先課題である北米事業は、あらゆる選択肢を検討しつつ収益改善に注力し5年ぶりに黒字転換できる見込みです。産業品のガス管事業は撤退することを決断しました。構造改革に取り組む一方で、成長事業の基盤づくりとして将来の事業拡大に向けた種まきを進めております。
さまざまな成果を上げることができ、基盤強化・構造改革は着実に進んでいます。今年は中期計画2年目として、構造改革と成長戦略のさらなる推進、収益体質強化、そしてこれらを支える健全で強固な組織をつくるため、次の3点を全社方針とします。
第一の方針は「全社一丸で変革を推進し、中期計画の取り組みを加速しよう」です。
中期計画では2025年をターニングポイントとしています。 過去からの課題に真正面から向き合い、既存事業の選択と集中に注力をする一方で、将来的に収益性向上が見込める収益事業・成長事業にリソースを再配分していきます。タイヤ事業では、本年1月から組織面で大きな変革を行い、「全体最適」をより意識した事業運営を行うため「タイヤ事業業部」を立ち上げました。また、国内のタイヤ販社を11社から1社に集約しました。新組織では、あらゆる面で効率性を高め、製造・技術・販売の一気通貫の事業推進、部門横断でPDCAのスピードを上げる仕事スタイルへの変革、グローバルでのコミュニケーション向上、商品企画とマーケティング強化を図ります。中期計画に掲げた変革と各施策を前倒しで進め、その効果を実感しながらさらに加速できるよう、スピード感を持って進めていきます。
第二の方針は「ありたい姿の実現に向けて、イノベーションを推進しよう」です。
「未来をひらくイノベーションで最高の安心とヨロコビをつくる」というOur PhilosophyのPurposeを実現するためには、急に変化する世界市場の中で、イノベーティブな技術力・発想力で安心・ヨロコビを生み出していかなければなりません。技術革新はもちろん必要ですが、開発から生産、物流、販売、管理などすべての面でのイノベーティブな発想力も大事です。当社は、これまでに世界初の技術や商品を生み出してきました。そうした先進性をこれからも発揮し、ありたい姿の実現に向けて、変化を先取りし新しい価値を生み出していきます。
第三の方針は「多様性を尊重し、組織力を高めよう」です。
組織体質改善を目的の一つとするBe the Change活動は開始から5年目に入りました。社員が前向きな心持ちでチャレンジできるよう、自由闊達に意見を言い合える職場、お互いを尊重し多様性のある仲間が活き活きと活躍できる、心理的安全性の高い職場を会社としてつくり上げていきます。その中で、女性活躍推進は、多様な人材が活躍できる職場環境づくりの起点になると考えています。多様性を尊重する企業風土を一層醸成し、組織力を高めていくことによって、個人の成長と会社の発展につなげていきます。
これらの方針に基づき、当社では社会からの期待に応える真に価値ある企業グループを目指して邁進してまいります。
2024年01月05日