*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。
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特集1 エラストマーの最新技術動向
テンダーX線小角散乱法を利用したゴム材料の構造解析体
高エネルギー加速器研究機構 高木秀彰
1. はじめに
X線や中性子といった量子ビームを利用した小角散乱法はゴム材料の構造解析でも広く利用されている1)。小角散乱法は試料を非破壊で測定できるために、加熱冷却や力学変形などの外部刺激を与えながらのその場(in-situ)測定が簡単に行える。
小角散乱法とは試料に量子ビームを照射し、試料から散乱した光の散乱角が小さな領域を測定する手法である2)。散乱角と観察したい(周期)構造には簡単な関係式がある。
ここでdは構造の周期を意味する。散乱ベクトルの大きさqは以下の式で定義される。
ここで、lは波長、qは散乱角を意味する。従って(1)式から、大きな構造の情報は小さな散乱角に