住友理工は12月13日、歯科医療機器・材料・コンピューターなどの開発、販売及び輸入を担うヨシダを通じて、口腔機能モニターOramo-bf(オラモ)の拡販を開始したことを発表した。
口腔機能モニター「オラモ」は、咬合力(咬む力)を測定する製品で、同社で初めての歯科用医療機器。大学研究機関や歯科医院で使用されており、口腔機能低下症の検査項目である咬合力検査に使用できるうえ、保険算定も可能。本製品は、患者の口腔内にセンサーを挿入し、咬むだけで咬合力を簡単に短時間で測定することができる。使いやすさを考慮したコンパクトな設計で、訪問診療にも活用されている。
同製品の開発には、同社のコアコンピタンスである高分子材料技術と総合評価技術をもとに、地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター平野浩彦先生(歯科口腔外科部長・研究所研究部長)との共同研究により製品化に至った。2022年7月より販売を開始し、現在までに約600台を販売している。
現在、日本では、口腔機能の維持等を目的とした後期高齢者歯科健診が2014年から開始され、さらに国民に毎年の歯科健診を義務付ける「国民皆歯科健診」制度の導入が検討されている。超高齢社会が今後進むにつれて、咬合力をはじめとした口腔機能が低下し、噛み応えのある食物繊維の多い食品や肉などを避ける傾向が増え、国民が肥満や運動機能の低下により疾患などになることが懸念されている。そのような疾患の要因を防ぐためにも、歯の健康を守ることが健康寿命を延ばすことに繋がると言われている。また、日本歯科医師会によりオーラルフレイルの概念が啓発されており、今後ますます口腔機能と健康に関する研究が進むにつれて、オラモの需要も高まることが期待される。
同社グループは、経営Vision「2029年住友理工グループVision」にて、実現したい未来社会像として、「自然と都市と人の空間が繋がるグリーンで快適な社会」を掲げている。オラモの普及を推進し、咬合力測定を身近に感じていただくことで、高齢者だけでなく全ての人々の安心・快適な生活の一助となり、歯科医師からの効果的な治療・アドバイスにつながることでQOL向上、健康で長寿な社会の実現に貢献していく。
2023年12月15日