三井海洋開発と東レは12月18日、このたび、三井海洋開発が設計・建造し、その後のオペレーション&メンテナンス(運転・保守点検)サービスを提供するFPSOおよびFSO向けに、「CFRPパッチ工法」を共同で開発したと発表した。
同工法は、最大径300mmの局所腐食による損傷部への補修法として、米国船級協会の承認を取得している。
両社は、2024年から同工法によるFPSO および FSO向け補修補強の実適用を開始する予定となる。
FPSOおよび FSOの保守は、洋上で石油やガスの生産を継続しながら行われるため、資材と機材搬入が容易で火気工事を伴わない工法の開発が強く求められている。両社は、2020年に「現場 VaRTM工法」を用いたCFRP補修技術を共同開発し、ABS承認を取得した。この方法は広範囲の腐食補修に強みがある一方で、点在する局所的な腐食の補修が課題だった。
これに対し、「CFRPパッチ工法」は、あらかじめ製作したCFRPパッチ平板を局所腐食の上から接着させるのみの簡易な工法で、工事に関わる人数・時間を約半分にすることができる。
また、真空ポンプ等の設備が一切不要で、補強材や施工道具の搬入も容易となる。加えて、火気工事を伴わないため、補修工事が石油やガス生産に与える影響の最小化が期待できる。
広範囲の補修を強みとする「現場VaRTM工法」と、局所の補修を強みとする「CFRPパッチ工法」をFPSO およびFSOの腐食状況によって使い分けることで、現場ニーズに広く対応していく。
両社は、今後もFPSOとFSOの補修補強技術の開発を推進し、市場のニーズに迅速に対応するとともに、環境問題をはじめとする社会課題に向き合いながら、サステナブルな社会の実現へ貢献していく。
2023年12月19日