出光興産の子会社である出光アドバンスドマテリアルズは12月18日、マレーシアのジョホール州パシルグダンに第2SPS(シンジオタクチックポリスチレン)製造装置を新設し、2023年11月に商業運転を開始したと発表した。
同装置の生産能力は1年当たり、9000tで、第2SPS装置が稼働することで同社の独自素材であるSPS樹脂の生産規模は2倍になる。
千葉事業所内にある第 1SPS装置との2拠点体制になることで、より安定した生産・供給体制が実現した。
SPS樹脂は、1985年に同社が世界で初めて合成に成功し、1997年に世界で初めて商業化を達成した純国産のエンジニアリングプラスチックとなる。耐熱性(融点270℃)・耐熱水性・絶縁性・電波透過性に優れ、電気自動車を含む自動車関連部品、家電や食器・電子レンジ調理容器などの日用品等に広く採用され、需要が拡大している。
第2SPS製造装置の建設地であるマレーシアのパシルグダンは、同社の石油化学製品の重要な製造拠点の一つ。需要の拡大が見込まれる東南アジアに位置し、隣接する同社子会社の出光SMマレーシアからSPSの原料である SM(スチレンモノマー)の調達が可能で、パシルグダン内で一貫した生産体制が実現できることから当地での建設を進めてきた。
今後、第 1SPS製造装置との2拠点体制により供給の最適化を図るとともに、販売拡大に向けた取り組みを強化する。
同社は、SPS樹脂をはじめとするさまざまな特性を持つ素材の供給を通じて、省エネや省資源化といった社会ニーズに応えるとともに、持続可能な社会の実現への貢献を目指す。
2023年12月19日