帝人は12月21日、持続可能な製品の国際認証に基づいたマスバランス方式を適用し、環境配慮型の原料を用いた炭素繊維「テナックス」の生産と販売を開始すると発表した。
炭素繊維は、「軽くて強い」素材として航空機や自動車、スポーツ用品など幅広い用途で使用されている。近年、製品のライフサイクル全体を通じた温室効果ガス(GHG)の排出量削減のニーズが高まっており、炭素繊維が関わるサプライチェーン全体においても製造工程における環境負荷の低減が求められている。
同社はこれまで、製造工程におけるGHG排出量の削減に向けて、製造拠点における自家発電用の燃料の天然ガスへの切替や、炭素繊維製品に関わるLCA(ライフサイクルアセスメント)評価の確立などを実施しており、2023年6月には持続可能な国際的認証の一つであるISCC PLUS認証を取得し、環境配慮型の原料を用いた炭素繊維「テナックス」の市場展開に向けた準備を進めていた。
同社は今回、ISCC PLUS認証に基づいたマスバランス方式を適用し、環境配慮型の原料を用いた「テナックス」の生産と販売を開始することとした。
販売を開始する製品は、三島事業所で生産する「テナックス」のうち、同社がISCC PLUS認証に基づいて生産することが可能な炭素繊維。
この炭素繊維は、製造に用いた環境配慮型の原料が石油由来のアクリロニトリルと同等の物性であることから、従来の石油由来品と同等の物性を有する。そのため、従来品から容易に切り替えることができ、製品のライフサイクル全体におけるGHG排出量の削減に貢献することができる。
同社は今後、環境配慮型の製品のラインアップ拡充に向けて、炭素繊維織物や、炭素繊維に樹脂を含浸したプリプレグなどについても環境配慮型の原料が使用できるよう、各製品に対するISCC PLUS認証の取得に向けた活動を進めていく。
また、環境配慮型の製品の生産・販売体制を強化すべく、海外の拠点についてもISCC PLUS認証の取得に向けた活動を進めており、欧州の拠点では2024年度初旬の認証取得、米国の拠点では2024年度中の認証取得を計画している。
同社グループは、事業活動に伴う環境、社会への負の影響が最小限となるよう努力し、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」をより具体化した「地球環境を守る会社」となることを目指していく。
2023年12月22日