東洋紡は12月22日、フィルム事業の基幹生産工場である犬山工場(愛知県犬山市)に高機能フィルムの研究棟「テクノブリッジ」を新設し、12月21日に竣工式を開催したと発表した。脱炭素・循環型社会の実現に貢献する環境配慮型フィルムや、デジタル社会の進展に貢献するフィルムを中心に新製品の開発体制を強化する。
同社は1963年、食品の小口包装の需要増に対応するためフィルム事業に進出。長年にわたり製膜技術や加工技術、高分子技術といった独自技術の開発や、多岐にわたる用途開拓に取り組み、事業規模を拡大してきた。現在は、リサイクル原料を使用しながら世界最薄となる厚さ20μmを実現した熱収縮ポリエステルフィルム「スペースクリーン」や、耐水性・耐久性に優れた液晶偏光子保護フィルム「コスモシャインSRF」など、高機能なフィルム製品を幅広く展開している。
2025中期経営計画(2022~2025年度)で「世界トップのグリーンフィルムメーカー」になることを目標に掲げる同社は、研究開発体制の強化に向け、約20億円を投資しテクノブリッジを新設。今後、プラスチックの使用量を削減する減容化フィルム、リサイクル・バイオマス原料を使ったフィルムなどの環境配慮製品や、デジタル技術の進展に不可欠な工業用フィルムの製品開発を加速するとともに、社内外の多様なパートナーとの共同実験を推進する。また、2020年に犬山工場で発生した大規模火災事故の教訓を継承する研修施設「労安防災ホール」を棟内に配置し、二度とこのような火災事故を起こさないよう従業員の安全・防災意識の徹底を図る。
2023年12月25日