東レ、新規炭素繊維開発 環境負荷低減に貢献期待

2024年01月12日

ゴムタイムス社

 東レは、1月11日、高弾性率を維持しつつ強度をさらに約20%高めたトレカMXシリーズとして新規炭素繊維トレカM46Xを開発したと発表した。炭素繊維複合材料(CFRP)の軽量化を通して環境負荷の低減に貢献することが期待され、今後、釣竿、自転車、ゴルフシャフトなどのスポーツ用途をはじめ、幅広い用途開拓を進め、2024年度に上市予定。
 炭素繊維の弾性率と強度はトレードオフの関係にあるが、これらの両立を実現させることは、炭素繊維の使用量を減らしても同等性能が維持でき成形部品の軽量化につながるため、スポーツ・レジャー用品市場などから強い要望がある。また、弾性率350GPa以上の高弾性率炭素繊維において、高弾性率を保ったまま強度を上げることは技術難易度が高く、大きな課題とされてきた。
 黒鉛化糸トレカM40に始まる弾性率350GPa以上の高弾性率炭素繊維に対する高性能化は、1984年にトレカM40J、1986年にトレカM46Jを上市し、高弾性率炭素繊維トレカMJシリーズとして市場要望に応えてきた。さらに、トレードオフの関係にある強度と弾性率を両立する技術開発を継続し、繊維内部の黒鉛結晶構造と配向性を制
御する技術を適用したトレカMX シリーズを開発し、最初の品種であるトレカM40Xを2018年に上市した。市場の要望に沿った高性能炭素繊維、およびプリプレグ(樹脂含浸させた中間基材)として高評価を得つつある。
 今回、この構造制御技術を極限まで追求し、繊維内部の黒鉛結晶構造を超微細かつ超高配向にナノレベルで制御することで、従来同等の弾性率を維持したまま、20%以上の強度向上を実現させた新規炭素繊維トレカM46Xの開発に成功した。
 併せて、本開発品に同社独自の革新的な微細構造制御技術ナノアロイをマトリックス樹脂に適用したトレカM46Xプリプレグも同時に展開される。圧縮強度が大幅に向上し、部材の強度を維持したまま高剛性化が可能になり、製品軽量化や設計自由度の拡がりなどへの貢献が期待できる。
 同社は、「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」との企業理念のもと、炭素繊維トレカおよびトレカプリプレグの一層の高性能化やプロセス加工性改善を通じて新製品の開発に取り組み、素材の力で社会を変革していく。

炭素繊維

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