【新年インタビュー】クラレプラスチックス 宇野将成社長

2024年01月29日

ゴムタイムス社

■ 新年インタビュー

社員一人ひとりとの対話大切に

クラレプラスチックス 宇野将成社長

 中期経営計画(22年~26年)において既存事業の体質強化と新商品・新規事業の開拓に力を入れているクラレプラスチックス。昨年の業績や中期経営計画の進捗状況など宇野将成社長に話しを聞いた。
 ◆昨年を振り返って。
 まず元日に能登半島を中心とする地震が発生した。被災された地域の皆様に心よりお見舞いを申し上げる。そうした環境下で昨年を振り返ると、業績は非常に厳しく、売上高、営業利益ともに前年を下回る見通しだ。当社はゴム・化成品、フィルム・シート、コンパウンドの3部門を展開しているが、それぞれアゲンストの風を受けた。
 ゴム・化成品では、一昨年に続いて昨年は一部製品で価格改定をお願いした。受け入れていただいた会社がある半面、思い通りにならなかったものもある。ただ、営業スタッフの頑張りもありゴム・化成品の売上は22年度並みとなった。
 ◆他の部門について。
 ターポリンなどのフィルム・シートは、ここ数年海外製品に押されて採算性が低下しており、昨年も売上が減少した。コンパウンドは中国向けが一昨年あたりから徐々に落ち込んできたことが響き、売り上げも減少した。ただ、3部門とも下半期以降は回復の兆しを実感している。実際の数字に反映されるのはこれからだが、今年の本格回復に期待している。
 ◆中期経営計画の進捗について。
 既存事業の体質強化では、業務効率化や一体運営に取り組んでいる。業務効率化ではITの活用を含めたDXをグループ全体で進めている。ただ、業務プロセスを変えるのはそれなりに時間が必要。今年中に業務プロセスを見直し、来年から本格的な業務改革に着手したい。
 一体運営では、従来の2事業部制から昨年1月1日付で営業・生産・開発の職能別組織に変更した。その成果は、昨年後半あたりから営業のマーケティングでは目に見えるようになってきた。一方、生産部門は今年1月1日付から生産と技術に再び分けた。それぞれの職能に特化するとともに新たに設けた生産の管理部門が3つの事業を横断的に調整できるようにして一体感を維持する。
 ◆新商品・新規市場の開拓の状況は。
 新商品は、当社の加工技術とクラレグループの素材を掛け合わせた「スペシャリティ加工品」の上市を目指している。ホース・ダクト類でも準備を進めているし、熱可塑性エラストマー製のシート類も今年から紹介していく。新商品開発と販売を強化して収益拡大につなげたい。
 新規市場の開拓に関しては、5年程度の期間で考えている。現在はホースやフィルム・シートなどの販売部門(若手を含めた)の中に新規市場開拓部を作り、横串で連携しながら新規市場の開拓に取り組んでいる。すでにフィルム・シートではニット生地用の伸縮芯地として用いられる機能性フィルムがグローバルに売れ始めている。現在はそれに続く製品開発にも取り組んでいる。
 ◆24年の抱負を。
 コロナ禍で動きたくても動けなかったが、昨年から社員一人ひとりとのコミュニケーションを増やしている。「我々の会社は小さくても世の中を変える会社を目指す」という社内スローガンを掲げている。そのためには社内の意識も変えないといけない。今年も社員との対話を大事にして、会社の方向性(ベクトル)をあわせ目標を達成していく年にしたい。

宇野将成社長

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